大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

成長に伴い臆病・ヒメフエダイ

幼魚のころは警戒心がないものの、成長につれて臆病になるものもいる。フエダイ科のヒメフエダイがそうだ。全長約40cmになり、体色は赤味がある灰色で尾ビレが赤茶。房総半島以南の太平洋、インド洋に分布し、沿岸のサンゴ礁に単独または群れで生息している。

ヒメフエダイの成魚(ラジャアンパット)f:id:youjiuo:20210219110803j:plain

 

海外では成魚でも単独の場合は比較的近寄ることができる。しかし日本では到底無理。ところが、幼魚のときは根のそばにヨスジフエダイの幼魚などと混泳していることがあり、近寄って撮れる。幼魚期の体色は水色で、尾柄部に暗色の帯がある。

全長約4cmの幼魚(座間味)

f:id:youjiuo:20210219110926j:plain

 

少し成長すると行動範囲が広くなり、しだいに警戒心が強くなってくる。外洋に面したところに、少しずつ同種が集まるのだろう。

全長約10cmの若魚(座間味)

f:id:youjiuo:20210219111041j:plain

 

群れで行動している場面を撮影したいと思っていても、こちらの姿を見るとすぐに逃げてしまうほど臆病。以前、故益田一氏に撮影法を聞いたところ、群れを見つけたら岩陰に身を隠し、静かに待つしかないとの答えだった。日本では生息数が少ないため、群れに出会うことはなかった。

単独で行動する成魚(モルディブ

f:id:youjiuo:20210219111338j:plain

 

環礁の島のタヒチ・ランギロアでは、外海と内海を結ぶパッセージ(水路)を流れに乗って楽しむダイビングもある。外海で30分くらい潜った後、潮に流されて内海に向かうのだ。激流なので、岩に気をつけながら流されるだけ。ところが途中で、待望のヒメフエダイの大群が。何とか撮りたいと岩につかまり1回だけシャッターが押せた。もう少し近寄りたかったが、流れの中では無理だった。ヒメフエダイの忘れられない思い出だ。

ヒメフエダイの群れ(ランギロア)

f:id:youjiuo:20210219111623j:plain