水産資源として重要な食用魚は、昔から研究されていた。いうまでもなく、漁獲高を上げるためだ。定置網を仕掛ける場合も、対象魚の回遊ルートや習性を把握することで最適な場所がわかる。
また、大きめの魚は養殖も視野に入れて研究されていた。サケ、ブリ、マダイ、ヒラメなどで、意外かもしれないが、ヒラメも養殖されていてかなり詳しいことがわかっている。
鋭い歯が並ぶ(富戸)
ヒラメは全長1mに達するが、多くは80cmくらい。ふ化直後、眼は普通の魚のように両側にあるが、全長8mmで右目が移動して14mm前後で片側に達する。そのころに浮遊生活から底生生活に移る。また、メスのほうが成長がよく、5歳で68cmになるが、オスは52cmにしかならないらしい。魚類、イカ類、甲殻類をエサにしている。このような詳細な事柄が図鑑に記されているのも研究の成果だ。
保護色をしたヒラメ(佐渡)
ヒラメの分布は琉球列島を除く日本沿岸、朝鮮半島、中国。生息場所は砂底や砂泥底だが、岩場でも見られる。体色は海底と同化する保護色をしていて、天敵の目を欺くと同時に、エサである小魚や甲殻類などを待ち伏せするのに都合がよい。
ダイバーと保護色をしたヒラメ(柏島)
「左ヒラメに右カレイ」という言葉がある。背を上、腹を下にして見たときに目が左にあれば「ヒラメ科」で、右ならば「カレイ科」ということ。しかし、ヒラメ科で左に目があるにもかかわらず「テンジクガレイ」という例外もある。