大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

初観察・カスミアジの求愛行動

アジ科のカスミアジは、相模湾以南の太平洋、インド洋に分布している。主にサンゴ礁域に生息し、単独あるいは群れで行動しているが、数尾のグループの場合が多い。全長80cmに達し、魚類や甲殻類を主食にしている。

突進してくるカスミアジ(コモド)

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幼魚は内湾などの砂地に生息していることが多い。また、他の魚と一緒に行動することもよくある。特にヒメジ類を相手に選ぶようだ。ヒメジ類がヒゲで海底を探ると獲物が飛び出してくるのだろう。
コバンヒメジと行動する約15cmのカスミアジ(奄美

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他の魚に付いて行動するのは幼魚だけではない。成魚になると大きな魚によく付く。例を挙げると、マンタやキツネフエフキ、ナポレオンフィッシュなどの場合が多い。
キツネフエフキと泳ぐカスミアジ(ラジャアンパット)

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砂地にあるサンゴの根には小魚が住み着く。それを狙ってカスミアジがグループで来ることもよくある。
小魚を襲う若魚のグループ(座間味)

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本種の繁殖行動はあまり知られていないようで、図鑑や書物にも載っていないし見たことはなかった。しかし、今年の7月コモドで、オスが婚姻色になって求愛する場面が観察できた。婚姻色は、ギンガメアジやナンヨウカイワリと同じで黒。婚姻色のオスがメスを誘ってペアになる一連の行動を、動画で撮ることができた。
求愛する婚姻色のオス(コモド)

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