大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

仲良し! ナポレオンとカスミアジ

ベラ科のメガネモチノウオは全長約170cmにもなり、ベラ科では最大。英名でナポレオンフィッシュといい、こちらのほうが通りがいい。由来は、成魚になるとおでこが丸く盛り上がり、ナポレオンがかぶっていた軍帽に似ているかららしい。分布は琉球列島、太平洋、インド洋などのサンゴ礁域。そんなナポレオンにカスミアジが寄り添っている姿が、海外ではよく見られる。

ナポレオンと併泳するカスミアジ(パプアニューギニア

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ナポレオンは肉食性で、小魚や甲殻類など砂利ごと吸い込んで捕食する。カスミアジはそばにいることで外敵から身を守れるうえ、おこぼれを食べることができる。したがって、ナポレオンと併泳するカスミアジは若い個体が多い。もともと20cm前後のカスミアジの幼魚は、ヒメジ類などと一緒に行動する傾向がある。

ナポレオンと若いカスミアジ(タヒチ・ランギロア)

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コモドのドロップオフで潜っているとき、ナポレオンとカスミアジが一緒になって沖に向かって行くのが見えた。海底から離れるのは珍しいので、撮影したが、その後向きを変えてドロップオフに戻ってきた。なぜ沖に向かったかはわからない。ロウニンアジの気分を味わいたかったのだろうか。

沖に向かっているナポレオンとカスミアジ(コモド)

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カスミアジが成魚になると、他の魚とは一緒に行動することは少なくなる。とはいえ、たまに見ることもある。若魚のときよりは離れている場合がほとんど。プライドがあるのだろう。

ナポレオンと行動を共にする2尾のカスミアジの成魚(コモド)

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さらに大きくなると、離れては付き、離れては付きを繰り返す。もう天敵からは狙われないのを知っているからだろう。でも離れてしまわいのは、若いころの習性が残っているからに相違ない。

離れて行動するカスミアジの成魚(紅海)

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