天敵が現れたら、たたんでいた胸ビレを広げて撃退するといわれている魚がいる。ホウボウやオニオコゼなどだが、本当だろうか?
そのような場面の撮影を何度か試みたが、天敵が現れない。保護色なので気づかないようだ。胸ビレを広げた写真のほとんどは、ダイバーに驚いて広げたもの。威嚇だったとしても、逆に興味を持たれてしまう。
ホウボウ(西伊豆)
セミホウボウも胸ビレを広げることがある。セミホウボウの場合、広げながら逃げる。威嚇なら逃げる必要はないはずだ。
セミホウボウ(奄美)
ヒメオニオコゼもふだん砂地にいるときは、保護色であまり目立たない。
ヒメオニオコゼ(奄美)
胸ビレを広げると、鮮やかな模様が現れる。確かに相手は驚くかもしれないが、背ビレに毒トゲを持っているので襲う魚はいないはず。
胸ビレの内側に目立つ模様がある(奄美)
以前、こんなことがあった。ヒメオニオコゼが砂地を移動し始めると、近くにいたヨスジフエダイが「モビング」のような行動をとった。モビングとは、野鳥が天敵の猛禽類を集団で追い払う行動。モビングされたにもかかわらずヒメオニオコゼは、なぜか胸ビレを広げなかった。
胸ビレを広げずに逃げるヒメオニオコゼ(座間味)