大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

ホソスジマンジュウイシモチについて

テンジクダイ科のホソスジマンジュウイシモチは、西表島以南の太平洋、インド洋に分布する。内湾性で、マングローブや桟橋などのそばを好む。大きさは10cmに達するが、通常見られるのは5~6cm。
ホソスジマンジュウイシモチ(ラジャアンパット)

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わりと最近まで日本には分布していないと思っていた。97年発刊の「日本の海水魚」(山と渓谷社)に掲載されていないからだった。調べてみると新種記載は1828年で、かなり昔。日本初記録は西表の標本をもとに80年に記載されている。しかしその前から和名があった気がする。その訳は、1941年にパラオの標本をもとに新称の提唱をした学者がいたらしい。
それはともかく、マレーシアのマブールでは桟橋の下に群がっていて、夕方になるとエサを求めて離れて行く。
夕方のホソスジマンジュウイシモチ(マブール)

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フィリピンのリロアンでは、水上コテージの下で見ることがある。このときは約4cmの幼魚が姿を現した。
約4cmの幼魚(リロアン)

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ラジャアンパットの代表的なポイントのパッセージ。島と島の間が水路のようになっていて、海中洞窟がある。その中に本種が群がっていて、よい被写体になっている。
暗いところを好むホソスジマンジュウイシモチ(ラジャアンパット)

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今回調べてみてわかったことは、昔は日本にその魚が生息しているかを確認しないまま和名を付けた例がたまにあったようだ。
色彩的には地味だが、整然とした姿は美しい(ラジャアンパット)

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