大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

フタスジヒメジの生態

ヒメジ科のフタスジヒメジは伊豆半島以南の太平洋、インド洋に分布する。成魚は主にサンゴ礁域に生息し、温帯域で見られるのは幼魚や若魚がほとんど。全長40cmに達し、体側に二つの黒い斑紋があるのが特徴。沖縄の慶良間諸島では見た覚えはなく、最初に出会ったのはパラオで、91年のこと。
フタスジヒメジ(パラオ

f:id:youjiuo:20191120203251j:plain

 

その後奄美でも撮影したことはあるが、日本での生息数はそれほど多くない。コモドでは決まったポイントで見られる。夕方、オスが婚姻色になって求愛する姿を目撃した。
婚姻色になって中層でアピールするオス(コモド)

f:id:youjiuo:20191120203306j:plain

 

オスはテリトリーの中に数尾のメスを支配するハレムを形成している。メスは2~3尾で海底近くを移動していて、オスの求愛を待っている感じ。
求愛を待つメス(コモド)

f:id:youjiuo:20191120203324j:plain

 

オスは中層で激しく体を震わせながら泳いでアピールする。そして海底にいるメスめがけて急接近し、ヒゲを伸ばしながら求愛する。こうした行動を全部のメスにして、日没ごろにペア産卵するのだが、その前に浮上時間が来てしまう。
メスに求愛する(コモド)

f:id:youjiuo:20191120203347j:plain

 

マレーシアのポンポン島では、婚姻色になったオスにコバンザメが付いていたことがある。振り落とそうと、トリッキーな動きをするものの離れない。これから求愛というときに、厄介なものに取り付かれて気落ちしている表情だった。
コバンザメに付かれて浮かない表情(ポンポン島)

f:id:youjiuo:20191120203403j:plain