コバンザメは頭部にある吸盤で大きな魚などにつき、楽をしているイメージが強い。実際にマンタなどについたコバンザメを見ると結構動いているが、こうした事実はあまり知られていない。
ニューギニア島インドネシア領のチェンデラワシ湾で、コバンザメがついているフエフキダイを見つけた。フエフキダイは35cmくらいで、コバンザメはその約半分なので、若魚だ。
フエフキダイとコバンザメ
コバンザメがきちんと写るよう、さらに接近して撮影しようとするが、フエフキダイは警戒して逃げる。
警戒して方向を変えたフエフキダイ
そんなことを繰り返していると、コバンザメが自在に動いているところが撮影できた。
下に戻ったコバンザメ
コバンザメは、なぜかフエフキダイの腹部か背中につくことが多い。フエフキダイは平たいのでそのスペースは広くないが、コバンザメが小さいから可能なのだろう。
背中から…7秒後には下へ移動
コバンザメの吸盤は、自身が前進するとはずれる仕組みになっているので、宿主がいくら速度を上げてもはずれない。宿主がエサを捕るため速度を緩めたり止まったりすると、その反動で吸盤ははずれやすくなり、素早くおこぼれを得ることができる。
素早くエサのほうに近づくコバンザメ
デジタルカメラで撮影した画像には撮影年月日はもちろん、撮影時刻も記録される。
最初のカットから最後のカットまで2分10秒だったことがわかった。この短い時間の中で、コバンザメは想像以上に動き回っていた。決して楽ではない、と思う。
130秒のドラマ。最後は下に戻った