大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

濁りを味方に

 水中撮影で、水の濁りは大敵。ちょっと離れただけでも鮮明に撮れない。そこでどうしてもマクロレンズでの近接撮影になるが、あまりにも当たり前すぎ。濁りを逆手にとることも必要。濁りの原因は、季節的なものや大雨、潮の満ち引きなどで、緑っぽくなることが多い。自然現象でもあるので、ワイドレンズで狙って記録するのも意義がある。 

この写真は、パプアニューギニア・マダンで大雨が降り、マングローブの濁りがポイントに押し寄せてきたところ。 

帯状になった濁りが迫る(マダン)

 

インドネシア・デラワンでは、潮の動きの中でマングローブの濁りがポイントまで来て、みるみる濁ってしまった。緑っぽい水に囲まれ、なんとなく不思議な雰囲気で、浮遊物も少なかったためワイドレンズで撮影した。ニコノスVで20㎜レンズ。自然光で、絞り優先オートで撮った。 

緑っぽい水をバックにウミシダ(デラワン)

 

水面を見上げると、太陽のあたりが黄色くなっていてまるで夕方のよう。幻想的なひと時だった。 

幻想的な雰囲気(デラワン) 

 

海に出ているとき、大雨に降られることもある。ボートからエントリーすると、雨水と海水との層になっていた。雨水は海水より軽いため、覆いかぶさってすぐには混じらない。 

二層になった雨水と海水(奄美 

 

原因がよくわからない濁りもたまにある。9月で波も穏やかだったにもかかわらず、すごい濁りだった。そんなとき、ゴンズイの群れが現れた。ニコノスV+20㎜レンズを持っていて、露出を測っても反応なしの暗さ。しかたなくシャッター速度をB(バルブ)にし、1/2秒くらいでストロボ撮影した。バックは濁りの影響で緑っぽくなったが、これはこれで貴重な写真になった。 

濁りの中のゴンズイ初島)