大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

アマチュア時代のモノクロ写真

写真を始めたのは高校生のとき。兄のカメラにモノクロフィルムを入れ、風景写真を撮り始めた。我が家には暗室があったので、現像や引伸ばしは自分で行った。

1963年(21歳のとき)にニコノスが発売。翌年購入して初のマイカメラに。水中も当初はモノクロで撮っていた。
水中銃を持って泳ぐ友人(西伊豆堂ヶ島、1966年)

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ニコノスは水陸両用の35mmレンズ付で「全天候型カメラ」として発売した。まだダイバー人口が少なかったからだ。陸では広角レンズでも、水中では屈折率の関係で47mmくらいになる。それでも他になかったので、あえてワイド的な撮り方をしていた。半逆光でコントラストが強くなるアングルを選んだ。
手前にフトヤギ、遠くにダイバーを配して遠近感をつけた(真鶴、1968年)

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友人Sの職場に素潜り同好会があり、奄美群島ツアーを行うというので同行した。鹿児島からフェリーで奄美大島沖永良部島与論島を巡った。1965年に水中専用の28mmレンズが発売されたので、それを使っている。
サンゴ礁の切れ目に現れたダイバー(与論島、1971年)

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1972年に超広角レンズの15mmが発売され、ワイド写真の幕開けに。ぼくも74年に入手し、ワイド写真を撮り始めた。70年代中ごろから水中ストロボが市販され、それに伴ってカラーフィルムを多用するようになったが、モノクロも捨てがたかった。生物はカラー、風景や人物はモノクロと自分の中では決めていたようだ。
シルエットで岩やダイバーを狙った(伊豆海洋公園、1976年)

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カタクチイワシの大群が現れるときがある。当時はローライマリンで接写を撮ることが多かったので、15mmレンズはあまり出番がなかった。そんな折、たまたまニコノス+15mmも持参したとき、待望のカタクチイワシの大群が現れた。岩を山に、形を変える群れを暗雲に見立て、興奮しながらシャッターを押し続けた。
カタクチイワシの群れ(真鶴、1977年)

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友人からスキンダイビングしているところを撮影してほしい、と頼まれた。スキンダイバーと魚が一緒の写真を撮った後、夏の光をイメージして、ちょっとアートっぽく撮ってみた。これ以降はカラーフィルムばかりで、モノクロを撮る機会はなくなった。
現在はデジタル写真を編集ソフトで簡単にカラーからモノクロに変換できるが、深みが足りないような気がする。そのあたりがモノクロフィルムと印画紙の効力なのだろう。
光芒とスキンダイバー(三宅島、1978年)

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