大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

一期一会の魚(その1)

これまでいろいろな魚に出会って撮影してきた。中にはたった1回というものもいる。そこで、自分にとっての「一期一会の魚」を取り上げてみよう。
まずはホシフグ。青森県以南の日本、南シナ海ニュージーランドニューカレドニア南アフリカ、アルゼンチンと広く分布してる。だが、生息水深が100~400mと深いため、出会う機会は少ない。稀に20m前後に出現するらしい。
黒地に白い斑点のホシフグ(大瀬崎、1989年)

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石垣島の白保を取材しているとき、見慣れぬ魚が目の前を通ったので咄嗟にシャッターを切った。後にセンニンガジと判明。分類上はメギスやタナバタウオに近いようだ。夜行性のため撮影している人は少ないようで、『日本の海水魚』(山と渓谷社)にはこの写真が使われている。
珍しく昼間活動していたセンニンガジ(石垣島、1992年)

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柏島の砂地を移動しているとき、ハコフグ科のウミスズメだと思って近寄った。しかし体型が少し違う。初めて見るハマフグだった。正面からは三角形に見えるのが特徴で、ウミスズメは台形、ハコフグは四角形に見える。図鑑によると全長30cmになるらしく、房総半島以南の西部太平洋、インド洋に分布し、砂泥底に生息しているとのこと。
三角形が特徴のハマフグ。この個体は約8cm(柏島、1993年)

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座間味の外洋にある隠れ根に潜り、安全停止していると見慣れないゴンべがいた。どうしても撮りたいと思い、逃げないでと祈りながら近寄ったら撮らせてくれた。後にスミツキゴンべとわかった。出会ったのはこれが最初で最後。分布は小笠原諸島~西部太平洋なので、自分の行動域と違うからのようだ。
潮の速いところを好むスミツキゴンべ(座間味、1993年)

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東伊豆の赤沢で、体色が赤っぽいフグに出会った。福島県土佐湾、下関、韓国に分布するアカメフグだった。その名のとおり、眼が赤い。全長約30cm。沿岸の藻場や岩礁域に出現するが、生息数はそう多くないらしい。
体色が特徴のアカメフグ(赤沢、1996年)

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