大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

2016-01-01から1年間の記事一覧

1年ぶりのコモド(4)

コモドの南エリアは、湧昇流の影響で水温が低い。過去のログを見ると、平均で25℃くらい。23℃台だったときもある。今回は約27℃なので、世界的に異常なのかもしれない。 テーブル状サンゴの下は休憩所 南エリアNo.1のポイント「カーニバルロック」はシーマウン…

1年ぶりのコモド(3)

北エリアで1日か2日潜ると、一気に南エリアに向かう。リンチャ島の南端は湿度が高い風が吹くため、わりあい緑が多い。 南エリアの風景とコモドドラゴン 南エリアを代表するポイントの近くのビーチには、コモドドラゴンがよく姿を見せる。小型ボートで近づい…

1年ぶりのコモド(2)

コモドの海を大別すると、北エリア、南エリア、セントラルエリアになる。北エリアは暖かなサンゴ礁。一方南エリアは南からの栄養分豊富な冷たい海流の影響で、カラフルな底生生物が多く、インド洋の魚も見られる。 北エリアの代表的なポイントが集まる海域 …

1年ぶりのコモド(1)

9月3日から17日まで、インドネシアに行っていた。目的はいうまでもなく、コモド諸島ダイブクルーズで、楽しみながら撮影すること。 コモド諸島。緑が薄く覆っている 1年ぶりに行ってみると、乾季にもかかわらず、岩山の表面に薄らと緑が覆っていた。異常気象…

イルカの写真(利島編)

利島(としま)は伊豆七島の一つで、伊豆大島の隣にある。約10年前よりイルカが海岸に居ついているという噂が広まった。御蔵島から数頭が分かれてきたらしい。'11年7月に友人たちが行くというので同行した。 なぜか浅瀬を移動する 一行にはフリーダイビング…

イルカの写真(御蔵島編)

あでやっこ水中写真展でのこと。イルカの写真も展示されていたことから、イルカを撮影したことがありますか?とメンバーから尋ねられた。 イルカの撮影はスノーケリングで行う 御蔵島で何度か撮影したことはあるが、もう20年前になる。5年前には利島で撮って…

第22回あでやっこ水中写真展

神戸に行ってきた。第22回あでやっこ水中写真展を見るためだ。この写真展は、主に関西在住の女性だけの写真グループ「あでやっこ水中写真倶楽部」が主催し、今回で22回目になる。 写真展会場入口と案内状 主流メンバーとはこの倶楽部発足前から知り合いなの…

星野道夫さんのこと

日本を代表する動物写真家の星野道夫さんが亡くなって20年になる。まだそんなに経っていないと思っていたが、早いものだ。『BRUTUS』の星野道夫特集で知った。 『BRUTUS』表紙と中の記事 『BRUTUS』には数多くの方々が文章を寄せているが、その中にNHK自然番…

図鑑写真が基本

「図鑑写真になっちゃったぁ」と言う人がたまにいる。あたかも図鑑写真を平凡でつまらない、とバカにしたような言い方だ。そういう人は、本当の図鑑写真を知らないのだと思う。 アミメフエダイ。典型的な図鑑写真 図鑑用の写真は、当然ながら魚種を調べるた…

横浜散歩

ひと口に横浜といっても、いろいろなエリアがある。みなとみらいや大さん橋、赤レンガ倉庫付近はときどき行っているが、それ以外のエリアは数十年前に行ったきりだ。 元町通り 久しぶりに元町通りを歩いてみた。歩行者優先を考えた道路づくりで、車も少なく…

ベラ&ブダイ図鑑

先日、魚類図鑑が届いた。『ネイチャーウォッチングガイドブック ベラ&ブダイ』(誠文堂新光社刊)で、著者は八丈島でダイビングサービスを営んでいる加藤昌一氏。 『ベラ&ブダイ』の表紙 4月の「マリンダイビングフェア」のときに加藤氏と会った際、写真…

横浜から望む四季の富士

明日8月11日は「山の日」。今年から国民の祝日として制定された。山といえばやはり富士山。最も多くの人が被写体とした霊峰だ。 三ッ沢公園からの富士(1月下旬、9時ごろ) そこで、横浜の三ッ沢公園から季節ごとに撮った富士山を集めてみた。 秋。夕焼けと…

ローライマリンで撮った写真

契約しているフィルムライブラリーから、預けていたポジフィルムが戻って来た。現在はデータでの貸し出しなので、以前預けたフィルムはスキャンしてデータ化した順にカメラマンに返却される。データはコピーが簡単なうえに場所も取らず、同時に複数のクライ…

”幻の黄金アジ ”とは?

昨夕のテレビで ”幻の黄金アジ ”が取り上げられていた。黄色っぽいマアジのことだ。一般的なマアジは背中のあたりが黒っぽく、やや細いのに対し、黄色っぽくてやや太いのが特徴。 TBSニュースより 黒っぽいタイプより少し大型で美味だという。それで ”幻の黄…

接近できてラッキー!

魚によっては警戒心がとても強いものもいる。海外ではそうでもないのに、日本では警戒心が強い場合も多い。そんな魚を撮影するときは駆け引きが必要なのだが、何もしないのに寄ることができてしまうことがたまにある。 セダカギンポ(奄美) そんなときはラ…

ウルフ急逝

元横綱千代の富士(九重親方)が亡くなったというニュースをネットで見てショック受けている。61歳という若さで、死因はすい臓がん。現役時代平幕のころからファンで、小柄にもかかわらず豪快な投げ技にこだわる取り口に魅了された。 毎日新聞デジタルより …

逆立ち

逆立ちといえば思い浮かぶのはヘコアユやヨロイウオ。いつも口を下にして行動している。しかし、上にあるトゲ状のものは背ビレの第1棘ということなので、正常な姿勢といっていいかもしれない。 ヨロイウオ でもやっぱり逆立ちにしか見えない。ちなみにヘコア…

昇格!?トンガリサカタザメ

魚類の科名や属名は変わることがある。ブダイ科がベラ科になったのは記憶に新しい。変わることが多いのは属名で、新種記載されてから変更になったものは命名者をカッコでくくる決まりになっている(学名に命名者が記されている場合)。 『小学館の図鑑NEO 魚…

海の風景写真

海の日ということで、海の風景写真を。気持ちがいい海の写真を撮るには、まず天気。そして高いところから太陽の位置を考えて狙えば、美しい海が誰にでも写せる。 慶良間諸島の安慶名敷島(あげなしく) しかし天気が良い場合は潜るので、なかなかそのような…

動く図鑑 魚・新訂版

『講談社の動く図鑑 MOVE 魚』新訂版が届いた。最初に出版されたのが'12年6月なので、4年で改訂されたことになる。 動く図鑑の表紙。右が新訂版 前回お貸した写真は2点で、ミノアンコウとミヤケテグリの求愛。その他にライブラリーから数点貸し出されている…

ニジハギの生態

サンゴ礁域に生息する魚類は、体色・斑紋がきれいで目立つものが多い。例外もあるが、縄張りを主張するためのようだ。 色鮮やかなニジハギ(コモド) ニジハギもきれいな体色・斑紋でよく目立つ。藻食性で、浅いところに単独で縄張りを持つ。 追いかけ合うニ…

謎多き魚・ジンベエザメ

世界最大の魚はジンベエザメ。全長13mに達する。沖縄美ら海水族館には現在ジンベエザメが3尾飼育されている。美ら海水族館に隣接されているのが「沖縄美ら島財団総合研究センター動物研究室」。 佐藤氏。研究室から水槽が(メルマガより) ナショジオのメー…

ドリーの真実

13年前に大ヒットした「ファインディング・ニモ」の続編「ファインディング・ドリー」が近日公開される。今度の主役はナンヨウハギ。まさかナンヨウハギが主役になるとは思ってもみなかった。 ナンヨウハギのドリーが主役(奄美) ドリーはマンタの群れが家…

黒潮実感センター・神田氏のこと

6月11日柏島で開催されたウミノフォトフェス2016で、「海辺のおさかなセミナー」の司会進行を務めた神田優(かんだまさる)氏。海が大好きなオジサンにしか見えないが、実はすごい人なのだ。 海辺のおさかなセミナーの様子 NPO法人 黒潮実感センター代表でも…

完成!奄美の水中写真集

奄美の水中写真集が完成した。講談社さんよりこのお話をいただいたのは昨年6月。当初はミステリーサークルとアマミホシゾラフグをメインにということだったが、他にも奄美には魅力的な海中世界があるので、23年間撮りだめたストックから厳選して担当者にお見…

水中写真展巡り

新宿で水中写真展が二つ開催されている。一つは、若手水中写真家・戸村裕行氏の「OCEAN PLANET~いのち煌めく海の中の時間~」で、オリンパスギャラリー東京で6月29日まで。 若手水中写真家の戸村裕行君 戸村君とは一緒に潜ったことはないが、インドネシアの…

クマノミ類の黒化現象(3)

オーストラリアのグレートバリアリーフ(GBR)からニューカレドニアにかけて分布するのが、バリアリーフアネモネフィッシュ。共生するイソギンチャクは約5種類とされる。 バリアリーフアネモネフィッシュ(GBR) これはタマイタダキイソギンチャクかサンゴイ…

クマノミ類の黒化現象(2)

海外に生息するクマノミ類も調べてみたが、触手の短いイソギンチャクに住むと黒くなる場合と変化がない場合とがあった。すなわちクマノミの種類によって違うようだ。 ハタゴイソギンチャクとイースタン(PNG) イースタンクラウンアネモネフィッシュはカクレ…

クマノミ類の黒化現象(1)

クマノミ類と共生相手のイソギンチャク類とは、それぞれ相性のようなものがある。日本に限っていえば、カクレクマノミはセンジュイソギンチャクとハタゴイソギンチャクにしか住めない。セジロクマノミが住めるのはアラビアハタゴイソギンチャクのみ。 シライ…

48年前のスクラップブック

古いスクラップブックが出てきた。ダイビングに関する新聞の切り抜きで、'68年から約8年間のものが貼ってあった。当時ダイビングの情報はとても少なかったので、片っ端から集めていた。'68年に返還された小笠原の海中の取材記事が多い。 海中クリスマスパー…