クマノミ類と共生相手のイソギンチャク類とは、それぞれ相性のようなものがある。日本に限っていえば、カクレクマノミはセンジュイソギンチャクとハタゴイソギンチャクにしか住めない。セジロクマノミが住めるのはアラビアハタゴイソギンチャクのみ。
シライトイソギンチャクとクマノミ(瀬底島)
反対に融通性があるのはクマノミで、7~8種類のイソギンチャクに住める。こうした組合わせの中で、ある種のイソギンチャクと共生すると体色が黒くなる場合がある。このことは、故ジャック・モイヤー氏の著書『クマノミガイドブック』(01'年)にも取り上げられている。
ある種のイソギンチャクとは、アラビアハタゴイソギンチャクやハタゴイソギンチャクなど触手が短い種類。クマノミは、アラビアハタゴイソギンチャクに住むと全体が黒くなる傾向が強い。こうした傾向があるにもかかわらず、先述の書籍では小笠原のクマノミはどのイソギンチャクに住んでも黒いことを理由に、生化学的説明や環境条件などでは説明できない、としている。
センジュイソギンチャクとカクレ(慶良間)
他のクマノミはどうなのか。カクレクマノミはセンジュイソギンチャクに住むものはきれいなオレンジ色をし、白帯を縁取る黒は極端に細い。ない場合もある。
ハタゴイソギンチャクとカクレ(慶良間)
触手の短いハタゴイソギンチャクに住んでいるカクレクマノミを見ると、体色がくすんでいるように感じる。また、白帯を縁取る黒も若干太い印象がある。
ハタゴイソギンチャクとカクレ(慶良間)
もちろん個体によって若干の違いはあるが、この個体はわりあい黒い縁取りが太い。