大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

ドリーの真実

13年前に大ヒットした「ファインディング・ニモ」の続編「ファインディング・ドリー」が近日公開される。今度の主役はナンヨウハギ。まさかナンヨウハギが主役になるとは思ってもみなかった。


ナンヨウハギのドリーが主役(奄美
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ドリーはマンタの群れが家に帰るのを見てホームシックにかかり、自分の家族を探す旅に出るというストーリーらしい。










ナンヨウハギの成魚(慶良間)
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ニモのときの舞台はオーストラリアだったが、今回はアメリカ。両親がカリフォルニアの海洋生物研究所にいるようで、ドリーはその水槽で生まれ、海に放流された設定のようだ。実際のナンヨウハギの分布は、高知県以南の西部太平洋の熱帯・亜熱帯海域で、東部太平洋には分布しない。警戒心が強く、接近するのは難しい。ドリーがカリフォルニアの冷たい海には耐えられない、などといっては映画にならない。




幼魚。サンゴから離れることも(奄美)                                            
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幼魚期はサンゴのそばに群れていて、危険を感じると隙間に隠れる。しばらくすると出てきて、流れてくるプランクトンをついばむ、というのを繰り返す。









逃げないで待っている感じ(奄美
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ナンヨウハギ奄美と慶良間でたくさん撮っている。近寄ると逃げたり隠れたりしてうまく撮れないという人が多いが、なぜかぼくは相性が良い。









追い払われるナンヨウハギ(慶良間)
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幼魚期はプランクトン食だったが、少し大きくなると藻類も食べるようになる。そのため行動範囲も広がる。たまに藻食性で縄張り意識が強いルリホシスズメダイのところに行ってしまい、追い払われることもある。
さて「ファインディング・ドリー」のナンヨウハギは、一体どんな冒険をするのだろうか。