大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

2016-01-01から1年間の記事一覧

オオフエヤッコダイのナゾ

先日、ハウジングメーカー社長のKさんと柏島に向かう車中で、オオフエヤッコダイの話になった。行って来たばかりの西表島で見たという。フエヤッコダイとの違いをガイドに教えてもらい、妙に感激していた。 オオフエヤッコダイ(モルディブ) テンジクダイ科…

青筋と金剛

柏島のお魚セミナーで、鹿児島大学大学院生の吉田朋弘氏はテンジクダイ科魚類について講演した。その中で特に興味深かったのがアオスジテンジクダイの近似種。以前からフィッシュウォッチャーの間では、尾柄部の黒帯がアオスジテンジクダイと異なるので、別…

柏花鯛

先日柏島で開催されたウミノフォトフェスのお魚セミナーで、高知大学の遠藤広光氏は柏島にまつわる魚類について講演した。トサヤッコやスジハナダイ、カシワハナダイ、イトヒキハナダイなど柏島やその周辺で発見されて新種記載や日本初記録になった魚たちだ…

柏花鯛

先日柏島で開催されたウミノフォトフェスのお魚セミナーで、高知大学の遠藤広光氏は柏島にまつわる魚類について講演した。トサヤッコやスジハナダイ、カシワハナダイ、イトヒキハナダイなど柏島やその周辺で発見されて新種記載や日本初記録になった魚たちだ…

ウミノフォトフェスin柏島

柏島から帰って来た。梅雨の真っ只中、土曜日は奇跡的に晴れて絶好のイベント日和となった。ウミノフォトフェスは今回初参加なのでどんなものかわからなかったが…。 柏島全景(13日撮影) イベントは土・日の2日間のように書かれているが、実質的には土曜日…

分布にまつわる話(テングダイ編)

テングダイといえば、伊豆諸島や小笠原固有の魚という感じに思える。沖縄では見られないし、'84年発刊「日本産魚類大図鑑」(東海大学出版会)にある分布は南日本沿岸、小笠原諸島になっている。 テングダイ(伊豆大島) しかし『日本の海水魚』(山と渓谷社…

分布にまつわる話(ハナヒゲウツボ編)

ハナヒゲウツボの分布は、奄美大島以南、西部太平洋。昔も今もほぼ同じ。初めて見たのは慶良間諸島の座間味島で、'70年代終りごろ。その後何度も撮影し、'80年代終りごろに触れる個体が現れた。 触れるハナヒゲウツボ('88年、座間味) 現地ガイドが餌づけし…

分布にまつわる話(コクテンカタギ編)

コクテンカタギの分布は『日本産魚類大図鑑』('84年、東海大学出版会)では、相模湾以南の西部太平洋。'97年発刊の『日本の海水魚』(山と渓谷社)では、中部日本以南、台湾、フィリピン、ニューギニア、オーストラリア南部の西部太平洋になった。 コクテン…

分布にまつわる話(ツキチョウ編)

ツキチョウチョウウオを初めて見たのは柏島で、'92年のとき。警戒心が強く、近寄るのが大変だった。『日本の海水魚』(山と渓谷社)には伊豆、高知県、台湾、フィリピン、タイに分布とある。 ツキチョウチョウウオ('92年、柏島) また、海外の図鑑に載って…

分布にまつわる話(ケラマハナダイ編)

ケラマハナダイは'70年代後半に慶良間諸島の座間味島で発見され、'83年に新種記載された。'84年発刊の『日本産魚類大図鑑』(東海大学出版会)には、沖縄座間味島、西表島に分布、と記されている。 まだ和名がなかったころ('80年、座間味島) しかし数年後…

分布にまつわる話(テングチョウ編)

テングチョウチョウウオを初めて見たのは柏島。'91年7月のこと。幼魚、そして成魚のペアがいた。ペアでもこのチョウチョウウオは少し離れて行動するので、2尾を画面に入れるのは難しい。同じ年の12月に大瀬崎でも若魚に出会った。 何とかペアが撮れた('92年…

分布にまつわる話(クロリボンスズメダイ編)

クロリボンスズメダイの分布は『日本の海水魚』(山と渓谷社)では、宮古島以南、インド・西太平洋域となっている。 奄美のクロリボンスズメダイ('04年) 奄美大島と加計呂麻島の間の「大島海峡」は入り江が多く、ダイビングポイントにもなっている。12年前…

分布にまつわる話(アカオビハナダイ編)

図鑑に載っている分布はわりと大ざっぱ。アカオビハナダイの場合『日本の海水魚』(山と渓谷社)によれば、南日本、中・西部太平洋に分布。となっている。 アカオビハナダイ('92年、柏島) 分布域とはいえ均等に生息しているわけではないため、見られない場…

キンチャクダイと近縁種について(3)

アカネキンチャクダイは、日本で見られるキヘリキンチャクダイと似ているが、エラブタの下(喉のあたり)が黒くないものをアカネキンチャクダイとしているようだ。 アカネキンチャクダイ('92年、柏島) 体のどこかに青い模様が入っていることもあり、とにか…

キンチャクダイと近縁種について(2)

キヘリキンチャクダイは、黒い尾ビレの先端が黄色で縁取られていることからこの名がある。しかし尾ビレ全体が黄色いタイプと、黄色の中に黒いにじみがあるタイプがあり、地域変異と考えられている。黄色い縁があるタイプはインドネシアでよく見られる。 キヘ…

キンチャクダイと近縁種について(1)

キンチャクダイ科キンチャクダイ属は、日本に4種分布している。キンチャクダイ、キヘリキンチャクダイ、アカネキンチャクダイ、チリメンヤッコだ。 キンチャクダイ(柏島) チリメンヤッコを除く3種はカラーバリエーションが多いうえ研究の遅れもあったりす…

ゲンロクダイに出会った海

チョウチョウウオ科のゲンロクダイに初めて出会った海は、西伊豆の大瀬崎。約30年前のことで、当時ゲンロクダイはサンゴ礁に生息しているものだと思い込んでいた。 初めて出会ったときのゲンロクダイ ゆえに、西伊豆では見られたとしても幼魚だろう、と。そ…

マハタの特徴

昨日テレビの旅番組の中で、愛媛県・宇和島からの生中継があった。養殖が盛んなところなので、完全養殖された高級魚の紹介だった。その顔はハタの仲間だが、体は真っ黒で模様はなし。いったい何ハタなのだろう? 宇和島産のマハタ 答はマハタだった。画面で…

第37回SSP展開催中!

第37回SSP展(主催・日本自然科学写真協会、後援・環境省)が今日から富士フイルムフォトサロンで開催されている。 第37回SSP展の案内状 「自然を楽しむ科学の眼2016ー2017」のサブタイトルどおり、科学の眼で自然と向き合うことの楽しさと感動を伝えること…

奄美のんびりダイビングツアー(最終回)

加計呂麻島側にある安脚場(あんきゃば)は、特にサンゴがきれいなポイント。オニヒトデが異常発生したときに、現地ダイビング関係者が徹底して駆除を行ったお陰で、今でも健全なサンゴ礁が残っている。 ハマクマノミ コブシメが卵を産みつけるサンゴの一つ…

奄美のんびりダイビングツアー(4)

今回の奄美では、新しいダイブコンピューターとカメラ&ハウジングを使用した。前者はBismのDIVE DEMO SOLIS。 DIVE DEMO SOLIS 特長は、ソーラーパネル(文字盤)で発電した電気を充電したバッテリーで動作。つまりソーラー充電なので電池交換しなくて済む…

奄美のんびりダイビングツアー(3)

あっという間に11日。ダイビング最終日だ。小雨が降っているが、午後から晴れる予報。通算7本目は清水(せいすい)。ミステリーサークルを探しに沖へ向かう。水深27mの砂地を探索していると、つくり始めて2日目くらいのものがあった。 清水でミステリサーク…

奄美のんびりダイビングツアー(2)

ダイビング2日目、通算4本目のポイントは黒崎西。少し風が出たので、昨日より水面が波立っている。霧は相変わらずだ。潮の流れが速くなるポイントだが、止まっていて透明度もよい。 サザナミフグ 沖の根に向かう。アカククリやネムリブカを見ることが多いと…

奄美のんびりダイビングツアー(1)

奄美大島に着いたら小雨だった。羽田を発つとき、霧の影響で着陸できない場合は引き返す、とアナウンスがあったので、到着しただけでも喜ばなければならない。 嘉鉄のビーチからの眺め。9日8時半ごろ 奄美の濃霧はおそらく記録的で、10日まで続いた。9日朝、…

久々の奄美と写真集

ここ半年はダイビングをしていない。引っ越しを始め、写真集や写真絵本などの制作に携わっていたことと、諸々の所用があったためだ。 空から見た奄美北部の海岸線 写真絵本は先月初旬に刊行し、写真集は文字校正が終わって一段落したので、久々に奄美大島へ…

移り変わる季節

半月も家を空けていると、風景がずいぶん変わるものだ。成田に着いたときにはツツジが咲いていたので、もうそんな季節なのかと思った。 家の庭のツツジ・4月29日撮影 家の近くではアジサイも咲いていて驚いた。 家の前の桜の木・5月6日撮影 桜の木も葉が生い…

ピースボートの船旅(最終回)

シンガポールを出てマラッカ海峡を通過中、イルカを見たという人が数名いた。24日夕方、デッキ後方にあるジャグジーに初めて入ってみた。陸地は見えないので、もうインド洋なのだろう。 マラッカ海峡の出口付近 突然「クジラ~!」という叫び声。あわてて出…

ピースボートの船旅(5)

シンガポールに入港したのは22日の早朝。6時くらいに目が覚めたのでデッキに出てみると、すでに着岸していた。まだ薄暗い。 シンガポールの朝焼け。6時6分撮影 日の出は6時58分なので当然といえば当然だが、意外な感じがする。しだいに赤みを増してきた東の…

ピースボートの船旅(4)

ピースボートでの朝は早い。明るくなり始めるころには大勢の方が活動を始め、朝日を浴びながらラジジオ体操や太極拳をしている。 朝日を浴びながら体を動かす 6時からモーニングコーヒーがあるので、お菓子を食べながらのんびりしている人もいて、それぞれ思…

ピースボートの船旅(3)

28日午前中、無事帰国。船上ではあまりにもネット環境がよくなかったので、途中であきらめていた。やはり日本はいい! メニューを見ながらあれこれ悩む 神戸を出航してから南下し、フィリピンに近づくにつれて暑くなった。船旅の楽しみのひとつは食事。毎日…