大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

オオフエヤッコダイのナゾ

先日、ハウジングメーカー社長のKさんと柏島に向かう車中で、オオフエヤッコダイの話になった。行って来たばかりの西表島で見たという。フエヤッコダイとの違いをガイドに教えてもらい、妙に感激していた。


オオフエヤッコダイ(モルディブ

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テンジクダイ科は学者なみに詳しいにもかかわらず、チョウチョウウオ科はビギナーなみになるから不思議なものだ。オオフエヤッコダイは西表島ニューギニアグレートバリアリーフマリアナ諸島、ハワイ、インド洋に分布している。








オオフエヤッコダイ(上)とフエヤッコダイ
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特徴はフエヤッコダイに比べて体がやや大きいこと、口が長いこと、そして胸ビレのつけ根付近に細かな茶色の斑点があることで、フエヤッコダイには斑点はない。昔、西表で潜ったときに教えてもらったことがあり、それ以来注意して観察することにしている。片方だけ見るとわかりづらいが、並べて比較すると一目瞭然。








オオフエヤッコダイ?(慶良間)
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図鑑上は西表が北限になっているが、慶良間にもいるらしい。というのは、'97年に発刊された『日本の海水魚』(山と渓谷社)の制作に携わったとき、フエヤッコダイと思っていたものが、監修の井田斎氏によるとオオフエヤッコダイとか。だが細かな斑点がないし、口もさほど長いとは思えない。もしかしたら雑種なのだろうか。実際に使われたのはモルディブで撮ったものだった。





珍しいオオフエヤッコダイ('96年、伊江島
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伊江島でも出会ったことがある。そのときはペアでいて、しかも片方は黒褐色の色彩変異だった。本などでは黒褐色の個体はハワイに多いとある。それがなぜ伊江島にいたのだろうか。










茶色っぽい個体(メナド)
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以前、インドネシアスラウェシ島のメナドで、オオフエヤッコダイの体側が茶色っぽい個体を数尾見た。黒褐色や茶色っぽくなる個体はオオフエヤッコダイだけのようで、フエヤッコダイの色彩変異は見たことがない。これもオオフヤッコダイのナゾだ。