大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

分布にまつわる話(テングダイ編)

テングダイといえば、伊豆諸島や小笠原固有の魚という感じに思える。沖縄では見られないし、'84年発刊「日本産魚類大図鑑」(東海大学出版会)にある分布は南日本沿岸、小笠原諸島になっている。


テングダイ(伊豆大島
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しかし『日本の海水魚』(山と渓谷社)では、本州中部~九州、小笠原諸島ハワイ諸島、オーストラリア南東部、ニュージ―ランド北部に分布とあり、かなり広がった。









複数でよくいるテングダイ(三宅島)                                            
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背・尻ビレが大きいことや縞模様などで、一目でテングダイと判別できる。伊豆諸島では岩場に生息し、岩陰などにいることが多い。










テングダイのアップ(八丈島)                                            
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口が突き出ていて、下側にヒゲがあるのも特徴。











テングダイ(柏島
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伊豆諸島以外ではテングダイを見たことがなかったが、'15年に柏島で出会った。

 









海外で初のテングダイ(ロードハウ島)                                           
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日本固有種に近い魚に海外で出会うと、懐かしい気持ちになるもの。コクテンカタギのときも出たオーストラリアのロードハウ島に、テングダイがいたのだ。ガイドによるとレアのようで「ジャパニーズボアフィッシュ」という名前とか。ボアは豚や猪のことで、鼻が似ているからだろう。日本に多いことを知っていてジャパニーズになったようだ。





ウミノフォトフェス(HPより)
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これまで分布に関していろいろな魚を取り上げたが、どの魚にも柏島が出てきたことにお気づきだろうか。近くを流れる黒潮、地理的位置、そして地形など柏島は魚類の生息に好適な環境なのだ。
そんな柏島で今月11、12日に「ウミノフォトフェス」が開催される。「海辺のおさかなセミナー」もあるので、明日から行くことになっている。