大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

分布にまつわる話(クロリボンスズメダイ編)

クロリボンスズメダイの分布は『日本の海水魚』(山と渓谷社)では、宮古島以南、インド・西太平洋域となっている。


奄美のクロリボンスズメダイ'04年)                                           

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奄美大島加計呂麻島の間の「大島海峡」は入り江が多く、ダイビングポイントにもなっている。12年前にMというポイントに入ったら、クロリボンスズメダイがたくさんいて驚いた記憶がある。









タオ島のクロリボンスズメダイ                                            

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図鑑上は沖縄本島奄美大島にはいないことになっているクロリボンスズメダイだが、沖縄本島の渡久地港で岸壁から見たことがある。また、慶良間でもごく稀に出現することがある。クロリボンスズメダイがものすごく多い海域は、なんといってもタイのタオ島だと思う。まるでキンギョハナダイのように群れているのだから。






サカガキにいる婚姻色のオス(タオ島
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クロリボンスズメダイは、トサカガキの殻や岩の隙間で産卵する。繁殖期にオスは白い模様を出す婚姻色になる。奄美でも夏になると繁殖行動が見られる。










クロリボンスズメダイの幼魚(奄美)                                           

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クロリボンスズメダイプランクトンフィーダーで、適した生息場所なら大繁殖するようだ。











嘉鉄に進出('14年)
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奄美の嘉鉄(かてつ)というポイントに、魚がたくさんいる根がある。そこにはクロリボンスズメダイはいなかったが、2年前に23尾いるのを確認した。そして今年5月には、約10尾に増えていた。近い将来、タオ島のように大群になり、分布の北限を書き換えるに違いない。