大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

分布にまつわる話(ケラマハナダイ編)

ケラマハナダイは'70年代後半に慶良間諸島座間味島で発見され、'83年に新種記載された。'84年発刊の『日本産魚類大図鑑』(東海大学出版会)には、沖縄座間味島西表島に分布、と記されている。


まだ和名がなかったころ('80年、座間味島

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しかし数年後に既存種と同じであることが判明し、新種ではなく、日本初記録に換わった。既存種とは英名がピンクバスレットで、新種記載されたのはナント1856年。現在の分布は『日本の海水魚』(山と渓谷社)によると琉球列島、インド・太平洋域とかなり広がっている。








ケラマハナダイのオス('91年、柏島                                           

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'91年に柏島に行ったとき、ケラマハナダイの立派なオスがいたので驚いた。












ケラマハナダイの幼魚(富戸)
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メスは尾ビレの先端の上下に赤い点がある。幼魚も同じで、伊豆半島伊豆大島にはよく現れる。












ケラマハナダイ(ニューカレドニア
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海外ではモルディブグレートバリアリーフニューカレドニアで見たことがある。日本では、砂地やガレ場にある根に生息していることがほとんどだが、海外では単なるガレ場や沈船に生息していることが多い。









オスだけの集団(奄美
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奄美大島の南部にケラマハナダイの群れがいるポイントが3ヵ所くらいある。いずれも小さな根で、周囲は砂地。オスだけが集団をつくることもよくある。これほどの数が群れるのは「本場」の慶良間でもない。ケラマハナダイが世界でいちばん多い海は奄美だ。