大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

2023-01-01から1年間の記事一覧

館山でエンジョイ(その2)

25日(日)は、サメが集まる海として一躍有名になった伊戸(いと)へ向かった。伊戸ダイビングサービス「BOMMIE」は日曜お客が多いため、山ちゃんがガイドを頼まれたという。この日は70名くらい来ていて、30名乗りのボートが何往復もする。多くのダイバーが1…

館山でエンジョイ(その1)

2年前に旧友 L が館山に移住した。延び延びになっていたが、ようやく24日に訪れることができた。館山といっても広く、友人の住まいはかなり端に位置する相浜地区の平砂浦海岸。相浜から伊戸まで続くビーチはサーフスポットしても有名らしい。 平砂浦東端の相…

3年ぶりの奄美(最終回)

今回は5日間で15本潜り、うち14本がミステリーサークルの観察・撮影だった。1本は、他のお客がいたこともあり、嘉鉄のメインのポイントに潜ったが、環境がずいぶん変わっていた。大きな根にいたカクレクマノミがいなくなっていたのだ。以前は2組いたが、1組…

3年ぶりの奄美(4)

ダイビング最終日、産卵を期待して7時に潜る。サークルへ向かう間、ドキドキだった。果たして…。 筋は消えており、フグが卵の世話をする動作をしていた。ひと安心だ。過去に筋が消えていないことが何度かあったからだ。消えていないと、産卵は翌日に持ち越さ…

3年ぶりの奄美(3)

アマミホシゾラフグは、大潮にサークルをつくり始めて小潮で完成。翌日産卵して次の大潮でふ化。というのが基本的なサイクル。当然ずれることも多い。特に台風が接近した場合は大幅に狂う。今回は潮に合わせて1週間の日程を組んだ。ダイビング初日、23mの海…

3年ぶりの奄美(2)

今回利用したダイビングサービスには、海外のテレビ局、水族館や博物館などから、ミステリーサークルの取材や調査の予約が入っている(ナショナルジオグラフィックの取材は数日前に終わった)。そのため、ダイビングポイントから離れた砂地を調査し、複数の…

3年ぶりの奄美(1)

久しぶりに奄美へ行った。2020年の「ワイルドライフ」のロケ以来なので、3年ぶりだ。台風3号が数日前にフィリピン付近で発生し、どうなるのかとても心配だった。いずれにしても梅雨なので、快晴は期待できない。奄美到着日(6/8)は天気予報でも大雨だった…

ネンブツダイ 分布の不思議

テンジクダイ科のネンブツダイは全長約10cmになり、千葉県以南~九州、台湾、朝鮮半島南部、中国南シナ海沿岸に分布している。分布に関しては図鑑によりまちまちなので、後述する。体色は半透明の肌色で、黄色やピンクがうっすら入ってきれい。また、顔に2本…

シマキンチャクフグは無敵か? 

ずっと前から「擬態」には疑問をもっていた。人間の都合よい解釈のような気がしてならないのだ。例えばシマキンチャクとノコギリハギの関係。有毒のシマキンチャクに似ているお陰で無毒のノコギリハギは恩恵を受けている、という。そもそもシマキンチャクフ…

6/11 NHK BSで奄美から生中継!

先日、NHKの番組を制作している、外部の制作プロダクションより連絡があった。6/11(日)午後2時よりNHK BSP、BS4Kで奄美から生中継を行うが、その中で以前放送された番組の一部を二次使用したいので、検討いただきたい、というもの。 生中継の番組は、陸・…

フタイロカエルウオについて

イソギンポ科のフタイロカエルウオは全長約7cmになり、屋久島以南の西部太平洋、東部インド洋に分布している。主な生息域はサンゴ礁で、岩肌に付着している藻類が主食。体の前部はグレー、後部は黄色と二色に分かれた体色で、和名の由来でもある。 フタイロ…

伊豆諸島名物 タカベ 

タカベ科のタカベは全長約20cmで、房総半島~九州および朝鮮半島南部に分布している。1866年に外国の研究者により新種記載された。主食は動物プランクトンで、外洋を群れで回遊している。青っぽい体色に、背中から尾にかけての黄色い帯が特徴。 タカベの群れ…

サンゴ大好き! ハクセイハギ

カワハギ科のハクセイハギは全長約35cmになり、相模湾以南の西部太平洋、インド洋に分布している。サンゴ礁が主な生息場所で、単独かペアで行動している。35cmになるらしいが、通常見られるのは25cmくらいだ。体色は焦げ茶だが、バリエーション豊富で、緑が…

〇〇〇ブルー

最近、高知県を紹介するテレビ番組で、清流・仁淀川(によどがわ)を「仁淀ブルー」と表現していた。このほかにもケラマブルーとか、積丹ブルーなど聞いたことがあり、密かなブームのようだ。この何とかブルーを知ったのはだいぶ昔で、ダイビング雑誌の「ケ…

群れにまぎれて

魚の群れは、たいてい同種で構成されている。そんな群れの中に、別種が入り込んでいることもある。その目的はさまざまだが、多くは安心・安全のためだ。 これはベンガルフエダイの群れにキンセンフエダイが2尾入っている。両種とも群れる習性があり、生息場…

沖縄本土復帰51年記念

きのう5月15日は、沖縄本土復帰51年。そこで記念として「オキナワ」「リュウキュウ」が頭に付く魚を集めてみた。「オキナワ」が付くのは10種くらいいるが、ダイビングで会わないものが多いため、「リュウキュウ」も加えた。 まずはオキナワスズメダイ。数が…

小顔で色白 サラサハタ

ハタ科のサラサハタは全長約60cmになり、相模湾以南の西部太平洋、東部インド洋に分布している。主な生息場所はサンゴ礁で、温帯域で見られるのは幼魚と思われる。サラサハタの最大の特徴は体型と体色・斑紋で、ひと目で本種とわかる。 独特な体型のサラサハ…

カスリハゼについて

ハゼ科カスリハゼ属のカスリハゼは、全長約7cmで千葉県以南の西部太平洋に分布している。内湾の砂泥底の浅瀬に生息し、テッポウエビ類と一緒に暮らしている。1837年に海外で新種記載され、日本で分布が確認されたのは、1960年代後半と思われる。ダイビングに…

謎多きクラカケベラ

ベラ科のクラカケベラは、高知県以南の西部太平洋に分布している。サンゴ礁外縁のやや深いガレ場を行動域にしているが、生息数はそう多くない。体側に黒と白の独特な模様があり、容易に識別できる。全長約18cmになる。 独特な模様のクラカケベラ(奄美) 幼…

英名はレインボウランナー

アジ科のツムブリは全長約1mになり、南日本を含む全世界の温帯・熱帯域に分布している。体型は細長くてスマート。したがって、スピードも速く、来たと思ったらすぐに去ってしまう。体側に水色と淡い黄色の帯があり、他のアジ類とはひと目で区別がつく。こう…

カモハラギンポの謎

イソギンポ科のカモハラギンポは全長約8cmになり、相模湾以南~琉球列島に分布している。日本固有種と考えられている。高知県で得られた標本を基に、1956年日本人研究者が新種記載した。標準和名、学名の種小名に「カモハラ」が付いているのは、高知県出身の…

蛍光サンゴ!?

奄美で初めて潜ったのは、1992年4月。当時奄美など数か所でダイビングサービスを営む会社からの視察依頼だった。近々羽田~奄美の直行便就航の計画があり、それに伴いダイビングイベントを開催予定で、その一環として行うフォトセミナーの視察が目的。スタッ…

ウニに寄生!? ハシナガウバウオ

ウバウオ科のハシナガウバウオは、その名のとおり吻が長い。全長約5cmで、千葉県以南の西部太平洋に分布している。生息場所は岩礁またはサンゴ礁で、ウニ類のそばに単独かペアでいることが多い。 ウニのトゲの間を移動するハシナガウバウオのペア(柏島) オ…

スミレヤッコ物語

キンチャクダイ科のスミレヤッコは、伊豆大島で得られた標本を基に、1969年に日本人学者によって新種記載された。全長は12cmで、現在の分布は伊豆大島以南、琉球列島、台湾、フィリピン、パラオになっている。初めて出会ったのは1979年に小浜島へ行ったとき…

インドカイワリについて

回遊魚でインドカイワリという種がいる。全長は40cm前後で、アジ科では中型になる。生息数はあまり多くないようで、沖縄などでたまに見かける程度。単独か数尾でキビナゴなどの小魚を捕食しにやって来る。カスミアジとは明らかに違うので、気になっていた。1…

真説・サメ

3月下旬にナショナルジオグラフィック別冊『真説・サメ~謎に満ちたすごい生態』が発売された。 悪者とされてきたサメを、最新の調査・研究を通して「海の守護者」にイメージチェンジさせるのがこの本の狙いだ。 ナショナルジオグラフィック 別冊『真説・サ…

マリンダイビングフェア2023開催!

4月7日(金)、マリンダイビングフェア2023が開催した。主催者の会社が代わって2回目だが、新型コロナの制限も緩和されたお陰で、出展社も入場者も想像以上の数で、大盛況だった。 会場受付 受付はスムーズだったので入場者は多くないと思ったのだが、入って…

配色最高・セグロチョウ

チョウチョウウオ科は日本に50数種分布している。その中で最も体色・斑紋が素晴らしいのはセグロチョウチョウウオだと思う。白、黒、オレンジ、黄色などが大胆に配色され、よくもこんなデザインになったものだと感心してしまう。水中写真を始めたころからそ…

1週間遅れて満開!

東京の桜の満開は3/22という発表だった。とはいえ、樹木や品種、あるいは日当たりなどによって満開はずれるようだ。毎年確定申告書を提出している「本所税務署」近くに、桜と東京スカイツリーが見られるお気に入りの場所がある。開花宣言があった3/14に税務…

ピタリと寄り添って泳ぐ魚

魚類ならではの行動がある。別種の魚がピタリと寄り添って泳ぐ「併泳」だ。どちらかにメリットがあるものと思われるが、詳しいことは知られていない。併泳で最も多い組み合わせは、ヒメジ類とベラ類だ。ヒゲで海底を探るヒメジ類のおこぼれが目当てなのだろ…