大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

3年ぶりの奄美(3)

アマミホシゾラフグは、大潮にサークルをつくり始めて小潮で完成。翌日産卵して次の大潮でふ化。というのが基本的なサイクル。当然ずれることも多い。特に台風が接近した場合は大幅に狂う。今回は潮に合わせて1週間の日程を組んだ。ダイビング初日、23mの海底につくり始めて23日目のサークルを発見。フグはいなかったが、しばらくするとやって来た。

つくり始めて23日目のミステリーサークル

 

フグは溝を掘ったりゴミを拾ったりする一方で、ふらりと出て行ってしばらく戻らないことも多い。相変わらず気まぐれは変わらないようだ。

溝を掘るアマミホシゾラフグのオス。下はゴミを排除

 

この場所はヒメジ類がよくエサを探しながら移動している。そのため、サークルの一部が壊されることもある。フグばかり見ていたら、いつの間にかセミホウボウが入っていた。フグはちょっとだけ追い払ったが、すぐあきらめた。まだ卵はないから、執拗に追い払う必要はないのだろう。

セミホウボウを追い払う

 

日を追うごとにサークルはきれいになっていく。外から貝殻をくわえてくることもある。外側の土手の部分に飾りつけをするためだ。

すこしずつきれいになるサークルを見る今回のクルー

 

12日の朝、完成していた。中央の円に筋模様があるのがその証。フグはさらに美しくしようと、体を滑らすように進む。夕方、メスが出来具合を確かめに来るのだが、その際オスは砂煙を上げ、そしてメスを追い払う「儀式」を行う。これを繰り返すため、筋模様は消えてしまう。今回はスケジュールの関係で、完成した日の夕方は潜っていない。

完成したミステリーサークル。下は、さらに仕上げする