大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

群れにまぎれて

魚の群れは、たいてい同種で構成されている。そんな群れの中に、別種が入り込んでいることもある。その目的はさまざまだが、多くは安心・安全のためだ。

これはベンガルフエダイの群れにキンセンフエダイ2尾入っている。両種とも群れる習性があり、生息場所も重複しているため、移動しているうちに一緒になったのだろう。どちらも無関心だ。

ベンガルフエダイの群れにキンセンフエダイ(コモド)

 

ノコギリダイの群れにアカヒメジが1尾混じっている。これもベンガルフエダイの場合と一緒。ノコギリダイもアカヒメジも海底から離れて漂うタイプなので、どちらからしても体色ほど違和感はないはず。

ノコギリダイの群れに混じったアカヒメジ(座間味)

 

ハナアイゴの群れの中に、アオヤガラがいるのがおわかりだろうか? このパターンは少し意味が違う。ハナアイゴは藻食性だが、よいエサ場には気が強いスズメダイ類が多い。しかし、群れで突進すれば効率よく食べられると学習。無造作に食べていると、隠れていた甲殻類や小魚が飛び出す。それをアオヤガラは容易に捕食できるため、食性の異なるハナアイゴと行動するのだ。

ハナアイゴの群れと一緒に行動するアオヤガラ(座間味)

 

イエローリボンスイートリップスとアヤコショウダイの群れ。両種はイサキ科コショウダイ属で近縁。しかも生息場所や習性も似ているため、よく混泳している。そんな群れにコガネアジが寄り添っていた。このときは潮流がとても速く、群れも密集していたくらい。外敵が行動を活発化する状況だったため、コガネアジは一時的に避難したのだろう。

コショウダイ類の群れに寄りそうコガネアジ(ラジャアンパット)

 

プランクトンを食べているムレハタタテダイの群れ。下のほうによく似たツノダシが2尾いる。撮影中は気づかなかった。これは偶然で、ツノダシに何の意図もない。移動しているところに、ムレハタタテダイがいただけだ。

ムレハタタテダイの群れの中を通るツノダシ(コモド)