大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

日本では脇役・ロクセンフエダイ

フエダイ科のロクセンフエダイは全長約30cmになる。南日本以南の西部太平洋、インド洋に分布するが、温帯域ではあまり見られない。ヨスジフエダイにそっくりだが、体高がやや高く腹部まで黄色い。また水色のラインは5本あり、ゆえに英名は「ファイブライン・スナッパー」。ではなぜ和名は「ロクセン」なのか。目のそばの短いラインも数えるため。細かい!

ロクセンフエダイ。上はヨスジフエダイ奄美

f:id:youjiuo:20210903103305j:plain

 

日本では生息数がそう多くない。ヨスジフエダイの群れに数尾混じっている場合がほとんどで、間違い探し的要素の高い魚といえる。

ヨスジフエダイの群れ。右下の色が濃い2尾がロクセンフエダイ奄美

f:id:youjiuo:20210903103836j:plain

 

インドネシアのコモド諸島では、黄色系の魚群をたくさん見ることができる。多いのはヨスジフエダイベンガルフエダイ、キンセンフエダイ、クロホシフエダイ、アカヒメジなどで、その中でロクセンフエダイの黄色はやや赤みがかっているので違いがわかる。別種が多少混じることもあるが、やはり生息数が多いのだろう。

色合いがやや赤っぽいロクセンフエダイ(コモド)

f:id:youjiuo:20210903104058j:plain

 

アンダマン海のスミラン諸島でも本種の群れと出会った。やはり他のフエダイ類と一緒に行動するようだ。顔が赤くなっている個体も見受けられるので、感情の変化で変わるのかもしれない。

ロクセンフエダイの群れ。奥に他のフエダイ類が見える(タイ・スミラン

f:id:youjiuo:20210905155656j:plain

 

本種は肉食性で、口に入る小動物なら何でも食べると図鑑に記述してある。しかし捕食している姿は見たことがない。昼間行動しているようみ見えるが、実は休んでいて、我々が潜らない時間帯に捕食活動しているのかもしれない。

上からヨスジフエダイ、キュウセンフエダイ、ロクセンフエダイ奄美

f:id:youjiuo:20210903104157j:plain