ナショナルジオグラフィックのメルマガに「日本の百年」というシリーズがある。同誌が約100年前に日本を取材し、掲載した写真の中から1点選び、当時の思いを馳せる、というページ。直近は「美しくて強い橋」で、見たような橋が出ていた。解説には、JRお茶ノ水駅近くの聖橋(ひじりばし)で、1932年2月号に掲載されたとある。関東大震災の復興事業の一環として建設され、1927年完成。重厚で美しいデザインは、土木学会の土木遺産に認定されている、と記されている。
1932年2月号(英語版)に掲載された聖橋の写真
聖橋は以前撮影している。たまたま日本橋発着の水上バス「カワセミ」で日本橋川、神田川をクルーズしたときに聖橋をくぐったのだ。
聖橋(2012.8)
ナショナルジオグラフィックのメルマガによると、同じような「復興橋梁」は東京だけで425橋あり、その中には隅田川の清洲橋、永代橋など国の重要文化財もあるという。
清洲橋(2012.8)
「復興橋梁」建設するにあたり、市街地に架ける「実用的構造物」であるとともに公共的構造物でもあり、ある程度美観を保つ必要がある、という設計主旨だったらしい。橋として必要な機能だけでなく、美しさを求めた方針が人々に長く愛されたのだろう。
勝鬨橋(かちどき)は、前出の二つの橋よりやや遅れて1940年に完成した。当時は大型運搬船が多かったため、通過する際は中央部分が跳ね上がる稼働橋だったが、1980年にその役目を終えた。国の重要文化財に指定されている。
頑丈なだけではなく、美しさも兼ね備えた橋をつくることを昔から担当者は考えていたことに、少々驚いている。
ライトアップされた勝鬨橋