NHKの朝ドラ「おかえりモネ」。都会生活を始めた主人公モネの下宿先は、街並みからすると勝鬨(かちどき)付近のようだ。身近な場所が舞台だと、違和感を覚えることも。上京したモネが、水上バスから東京スカイツリーを眺めるシーン。おのぼりさんが一人で水上バスに乗る設定には無理があるが…東京のイメージを表現したかったのだろう。
東京をイメージした場面。右より東京スカイツリー、公団住宅マンション、アサヒビール本社ビル、その手前がオブジェのフラムドール。一番左が墨田区役所、橋は吾妻橋(おかえりモネより)
また、隅田川越しのスカイツリーの映像(上の画像)がたびたび流れたが、そのシーンを見たとき、「同じだ!!」と思った。というのは、駒形橋の浅草寄りにある展望エリアから撮らなければ、あのように映らないからだ。そこは欄干が張り出していて、景色を眺められるようになっている。
駒形橋の展望エリア。カモメがとまっている(2014.1)
駒形橋の近くに引っ越したのが87年。2年後アサヒビール工場跡に本社ビル竣工。同時にオブジェの「フラムドール」も造られた。アサヒビールは80年に入って経営不振に陥っていたが、87年に発売したスーパードライが救世主となり、このビルが建った。ジョッキに注がれたビールと泡をイメージしている。
東京スカイツリーはまだできていない(1995.12)
被写体としておもしろいので撮り始めたが、最もよい位置を探したところ、先述した駒形橋の展望エリアだった。フラムドールの先端が隣のビルにかからない位置で、ここから1mずれただけでもバランスは崩れる。駒形橋から撮る場合は、必ずこの場所からと決めているのだ。
「おかえりモネ」に出てきたスカイツリーの映像は、内容とは直接関係ない。東京を表現するためだと思うが、勝鬨からはよく見えないので最適な場所を探したところ、駒形橋にたどり着いたに違いない。だが、ドラマは16年の設定。2~3年前からアサヒビールの壁面には「TOKYO 2020 オリパラ」のポスターが貼られているので、古い資料映像を探したようだ。でも不思議なのは、東京スカイツリーを建てる少し前から吾妻橋は赤なのだが…。
水上バスで駒形橋の下を通過したとき見上げた夜景(2020.12)