大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

あまり知られていないフクロウ二の仲間

いかにも毒々しいのはイイジマフクロウ二。相模湾から九州にかけての太平洋沿岸の岩礁域に生息する。トゲには毒があり、刺されると激しく痛む。直径は約20cmで、顔を近づけるとトゲがうごめく。フクロウ二の名は、革の袋のようにやわらかいからで、ヤワラウニと呼ばれることもあるそうだ。

イイジマフクロウ二(大瀬崎)

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フクロウ二の仲間は世界に45種報告されているが、大部分は200m以深の深海に生息するらしい。45種のうち4種が2030mで見られ、2種が日本に生息しているという。したがって、伊豆半島周辺はフクロウ二研究に関しては、世界に名高いらしい。奄美や沖縄には色がやや明るく鮮やかなフクロウ二が見られる。地域変異なのかと思っていたが、リュウキュウフクロウ二という名で別種だった。イイジマフクロウ二もリュウキュウフクロウ二も日本固有種とのこと。

やや鮮やかなリュウキュウフクロウ二(奄美

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インドネシアのコモド諸島でもリュウキュウフクロウ二に似たフクロウ二が生息している。南エリアの水温がやや低い海域を好むようだ。ただ個体によって色や模様が異なるので、はたして同種なのかはわからない。

変異に富んだフクロウ二の仲間(いずれもコモド)

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イイジマフクロウ二やリュウキュウフクロウ二には、小さなカニが住んでいることがある。ゼブラガニだ。かつては片利共生といわれていたが、ゼブラガニはフクロウ二の管足やトゲをハサミで切って食べるので、寄生ということがわかった。

フクロウ二に寄生するゼブラガニ。白い部分が食べた跡(コモド)

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