チョウチョウウオ科のミスジチョウチョウウオは、全長約15cm。伊豆諸島以南の太平洋、東部インド洋に分布している。サンゴのポリプを主食にしているが、成魚は藻類も食べるらしい。主な生息域はサンゴ礁で、大抵ペアで行動している。
1998年に世界的規模でサンゴの白化現象が起きた。原因は高水温。この年、沖縄には台風が来なかった。台風は暖かい水と深いところの冷たい水をかき混ぜる働きもある。白化が原因で死滅したサンゴがある一方、場所によっては水温低下とともに復活したサンゴもあった。
サンゴ礁の健全度をより広範囲に把握するため「海中公園センター」は、一般ダイバーに協力をお願いした。その方法とは、サンゴ礁に依存するミスジチョウチョウウオの数を調べること。耐水紙の調査シートに書き込んだら、そのまま送れる仕組みになっている。
調査シート。折りたためば封筒になる
調査は奄美大島から西表島で、ダイビング事業組合や潜水指導団体などを通して調査協力を呼びかけた。期間は1999年3月~9月の7か月間で、報告があったのは63件。その調査結果は海中公園センター発行の機関誌「海中公園情報」126号に載っている。
この調査については、写真を貸したりして協力したが、あまり反応は大きくなかったように思う。おそらく調査方法が細かすぎたからだろう。時間は10分間で、移動の範囲や速度も決められたなかで、ミスジチョウチョウウオの数とサンゴの状況(生きている頻度、形状)などを書き込むようになっている。また、ミスジチョウチョウウオは行動範囲も広いうえ、比較的地味なので見つけにくいことも挙げられる。
同じ食性のヤリカタギに追い払われる(座間味)
新聞に取り上げられたのは調査が終わった後。調査結果がよければ3年おきに行う予定だったが、これで終わってしまった。やはり生きものを使ってのキャンペーンなどは、難しいということだろう。
2000年3月15日の朝日新聞