大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

3年ぶりの奄美(最終回)

今回は5日間で15本潜り、うち14本がミステリーサークルの観察・撮影だった。1本は、他のお客がいたこともあり、嘉鉄のメインのポイントに潜ったが、環境がずいぶん変わっていた。大きな根にいたカクレクマノミがいなくなっていたのだ。以前は2組いたが、1組は数年前にハナビラクマノミに乗っ取られ、もう1組は今回イソギンチャクごといなくなっていた。

いなくなったカクレクマノミ2011年撮影)

 

また、長年被写体にしていたハマクマノミも姿が見えなくなっていた。そうなった原因のひとつが、ミドリイシの成長。2007年ごろ大きさが20cm足らずだったミドリイシはしだいに成長し、ハマクマノミが暮らすイソギンチャクを覆い始めた。イソギンチャクは光合成ができなくなるため、少し移動したのが約4年前。その後コロナなどもあってじっくり見ていなかったので、詳細はよくわからない。

2011年のハマクマノミで、ミドリイシが大きくなり始めている。右は現在の景観

 

サンゴの成長といえば、アンカーに付着したサンゴもそう。最初に写真を撮ったのは1997年だった。

海底に置かれた大きなアンカー(1997年)

 

年月が経過するにつれて付着したサンゴが育っていた。20113月には低水温が続いたため、一部のサンゴが白化した。アンカーに付着したハナヤサイサンゴも白化して死滅したため、関係者が壊したという。

サンゴが白化したときのアンカー(20114月)

 

今回アンカーの上の部分のサンゴが相当大きくなっていた。周囲のサンゴも育ったため、アンカーとはわからなくなった。

今回はミステリーサークルの観察・撮影が目的で、読みどおりになり、とても満足している。また、特異な繁殖行動を行うこのフグを、世界で初めて発見した者として、改めて誇らしく思えた。

現在のアンカー。サンゴに覆われて形がわからなくなった