大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

蛍光サンゴ!?

奄美で初めて潜ったのは、19924月。当時奄美など数か所でダイビングサービスを営む会社からの視察依頼だった。近々羽田~奄美の直行便就航の計画があり、それに伴いダイビングイベントを開催予定で、その一環として行うフォトセミナーの視察が目的。スタッフが、この時期「蛍光サンゴ」が見られる、と言ったの気になった。

最初撮影した奄美の被写体(924月)

 

「蛍光サンゴ」が見られるポイントにも案内してもらった。サンゴが白くなっているものの、変わっている様子はない。この時期プランクトンが増えて透視度は悪くなり、緑がかるため、蛍光っぽく見えないこともない。とりあえず写真撮影した。オニヒトデの食害でも一時サンゴは白くなるが、オニヒトデはいないらしい。

蛍光サンゴといわれたサンゴ(924月)

 

この当時はサンゴの白化は知られていなかったので、現地スタッフも不思議に思っていたようだ。90年代後半になってからサンゴは高水温が続くと白化することがわかってきた。98年には世界的な規模で発生したことはよく知られている。その後、低水温でも白化することが環境省の調査で明らかになった。2017年のことだ。

低水温によるサンゴの白化現象(20114月)

 

奄美で最も水温が低下するのは3月ごろで、例年では20℃。しかし場合によっては20℃を下回る年もある。その期間が少しなら白化しないが、長引けば白化が起きるのだ。また、どのサンゴも白化するわけではなく、ハナヤサイサンゴが比較的低水温に弱いといえる。31年前に見た「蛍光サンゴ」は、今考えると低水温による白化現象だったようだ。でもハナヤサイサンゴではなく、クシハダミドリイシだったのが気になるが…。

放置されたアンカーに付着したハナヤサイサンゴ(20114月)