大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

ウニに寄生!? ハシナガウバウオ

ウバウオ科のハシナガウバウオは、その名のとおり吻が長い。全長約5cmで、千葉県以南の西部太平洋に分布している。生息場所は岩礁またはサンゴ礁で、ウニ類のそばに単独かペアでいることが多い。

ウニのトゲの間を移動するハシナガウバウオのペア(柏島

 

オスとメスの吻の太さは同じように見えるが、実はオスのほうが太い。真上から見るとわかりやすい。ハシナガウバウオはウニ類のトゲのお陰で天敵から身を守れる。一方、ウニは何のメリットもなく、いわゆる「片利共生」の代表的な例だと思っていた。

ハシナガウバウオのオス(柏島

 

ところが、『日本魚類館』(小学館)によると、ウニ類を宿主にしているものの、ウニの管足を食べているという。ただそれだけではなく、ウニから離れて二枚貝の卵も食べているらしい。特にメスは細長い吻を活かして、二枚貝の卵を食べる頻度が高いという。

ハシナガウバウオのメス(座間味)

 

こうしたことが明らかになった以上、「片利共生」ではなく「寄生」とうことになる。ウニはたまったものではない。逃げることさえできないのだから…。さらなる研究で、ウニが宿主にされることのメリットを見つけてもらいたいものだ。

やはりウニのそばが一番、という感じのハシナガウバウオ(座間味)