ウニ類は、細長いトゲがあるために外敵から身を守れる。その利点を活用しようとする賢い魚たちもいる。そんな魚を取り上げてみよう。
ウニ類の中でもガンガゼは、トゲがより長いために魚が隠れられるスペースが広い。藻場に出ていたいくつかのガンガゼに、テンジクダイ科のミヤコイシモチが集まっていた。
ガンガゼを利用するミヤコイシモチ(バリ)
ウニ類のトゲの間に隠れるのは、テンジクダイ科魚類が多い。ヒカリイシモチも同科だが、ガンガゼ以外に隠れているのは見たことがない。隠れ家というより、住み家といったほうがふさわしい。
ヒカリイシモチ(座間味)
これもテンジクダイ科のバンガイカーディナルフィッシュの幼魚。そばにガンガゼがいない場合はサンゴやイソギンチャクも利用する。
約3cmのバンガイカーディナルフィッシュの幼魚(バリ)
ウバウオ科のハシナガウバウも近くにウニ類がいれば利用するが、いなければ岩のすき間などに隠れる。他の魚より行動範囲が広いからだろう。
ハシナガウバウオ(柏島)
ウニ類は寿命などで死んでしまうと、トゲは自然に抜け落ち、内臓などは他の生物などに食べられて殻だけになる。そうなっても隠れ家として利用する魚がいる。ニジギンポだ。死んでも活用されるウニ類は、幸せなのではないだろうか。