大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

配色最高・セグロチョウ

チョウチョウウオ科は日本に50数種分布している。その中で最も体色・斑紋が素晴らしいのはセグロチョウチョウウオだと思う。白、黒、オレンジ、黄色などが大胆に配色され、よくもこんなデザインになったものだと感心してしまう。水中写真を始めたころからそう思っていたので、最初は憧れが強すぎてまったく撮影できなかった。撮りたい気持が前面に出すぎて、殺気のようなものを知らずに発していたのだろう。

見事なデザインのセグロチョウチョウウオ(座間味)

 

あるとき、別の魚を狙って待機中、セグロチョウチョウウオが目の前を通った。その瞬間シャッターを切り、自然な感じで撮れ、コツらしきものをつかんだ。気に入った写真が1枚でも撮れると余裕ができるため、無理して撮ることがなくなり、結果的によい方向へ進むものだ。

きっかけとなったセグロチョウチョウウオのペア(座間味)

 

セグロチョウチョウウオは全長約20cmになり、千葉県以南の西部太平洋に分布している。生息数はさほど多くないうえ、行動範囲は広いので、出会う機会は少ない。幼魚や若魚も見たことはなかったが、ミクロネシアマーシャル諸島で、とても小さなセグロチョウを見つけた。

2.5cmの幼魚(マーシャル諸島

 

配色が最高のセグロチョウだが、夜眠るときは変身する。周囲にまぎれるような体色になり、外敵の目を欺いて身を守る。

夜は隠蔽色になる(座間味)

 

移動中のペアにレンズを向けていたら、片方がつまずくように前転しかけた。移動しながらエサを口にしたものだから、勢い余ってこうなったのだろう。昔つかんだコツが、どうやら活用できたようだ。

つまずくように前転しかけたセグロチョウ(コモド)