大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

2020-01-01から1年間の記事一覧

奄美「ワイルドライフ」ロケ(1)

7月10日に羽田空港で番組担当スタッフと合流。当日までカメラマンが誰になるのか知らされていなかったが、会ってビックリ。3名とも何度も仕事をしている人ばかり。一昨年、8Kで奄美を取材したメンバーだった。奄美は梅雨明けしていなかったみたいだが、天気…

いよいよ始動!

新型コロナウィルス感染予防対策で、いろいろなものが自粛になっていた。昨年から制作していた写真集もしかり。ここにきてようやく再開した。今回の写真集は自ら企画したもので、自分からというのは『奄美 生命の鼓動』(講談社)以来2冊目になる。 宣伝用の…

トガリエビスの性格

イットウダイ科のトガリエビスは、全長40cm以上にもなるらしい。しかしよく出会うのは30cm前後が多い。紀伊半島以南の太平洋、インド洋に分布し、岩穴などやや暗いところに生息している。 岩穴に生息するトガリエビス(15年、西表島) 最初にトガリエビスに…

北の魚

南の海に潜ることが多いので、写真のストックはサンゴ礁魚が大部分。とはいえ、以前は海中公園の取材もしていたので、北海道や青森、新潟でも潜ったことがある。そこで、貴重(?)な北の魚を取り上げてみよう。 まずはアイナメ科のアイナメ。九州あたりまで…

チリメンヤッコとグレーテイル

キンチャクダイ科のチリメンヤッコは、白と黒の境がグラディーションで、尾ビレが黄色い。顔に黒帯がある。全長約18cmで、奄美大島以南の西部太平洋に分布している。 チリメンヤッコ(コモド) 幼魚の体色・斑紋も成魚と大きな違いはない。生息場所は内湾で…

ざんねんな魚たち

『ざんねんないきもの事典』(高橋書店)が大好評だ。シリーズ化され、累計で380万部突破したとか。うらやましい。「進化のふしぎ」「意外な一面」「ざんねんすぎて 愛おしい」というコンセプトで、わかりやすく書かれているのが受けたのだろう。「サイの角…

魚の縦縞・横縞について

魚の体色・斑紋にはいろいろあるが、縞模様が多いのはなぜだろう。陸上の動物ではシマウマくらいしか思い浮かばないので、やはり魚は特別なのかもしれない。ざっと見ただけでもこんなに縞模様の魚がいる おなじみのタテジマキンチャクダイだが、縞模様が横に…

日本酒を楽しむ会

きのう久々にダイビング仲間と飲んだ。恒例になっている「日本酒を楽しむ会」で、第4回目になる。当初は4月初旬の予定だったが、延期になっていたのだ。実施するうえで感染防止策を考慮したことはいうまでもなく、「新しい飲酒様式」。会場はメンバーが住む…

ピースボート出航断念

新型コロナウィルスによる影響はいろいろなところに出ている。「ピースボートの船旅」もしかり。ピースボートとは1983年に設立されたNGOで、客船をチャーターして乗客を募り、地球一周の船旅を通して国際交流や平和活動などを行っている。今年春からはオーシ…

とっておきの海岸風景

夕焼けに続いて海岸風景の写真を。水中写真を専門にしていると、水中に重点を置くため、陸はおざなりになってしまう。特にフィルム時代は撮影枚数に限りがあったからで、デジタルに変わってからは陸も撮りやすくなった。30年くらい前に海中公園の取材で全国…

とっておきの夕焼け

写真が撮りやすい自然現象といえば夕焼け。いつでもどこでも起こるうえ、誰でも見ることができる。ただ気象条件や時刻によって、色合いがかなり異なる。雲の量や浮かぶ高さによっても違うようだ。ということで、これまで海で撮影したとっておきの夕焼けを…。…

ニセネッタイスズメダイの生態

初夏は多くの魚の繁殖シーズンに当たるため、例年は必ず海に行っていたのだが…。 ということで、この時季確実に見られる繁殖生態を紹介しよう。スズメダイ科のニセネッタイスズメダイは全長約8cmで、奄美大島以南の西部太平洋に分布している。鮮やかな黄色の…

キンチャクダイと錦江湾

キンチャクダイ科のキンチャクダイは、魚類図鑑によると東アジア温帯大陸棚域沿岸固有とある。温帯種ということだろう。分布は山形県および千葉県以南~九州南岸、済州島、台湾、中国沿岸、ベトナムで、奄美や沖縄のサンゴ礁域では見られない。本種は成長と…

浅いところが苦手な魚たち

前回とは反対に、深いところでしか見られない魚を取り上げてみよう。モンキキンチャクフグは水深20mより深場に生息する。座間味島では30mくらいで撮影したことがある。一方、奄美大島ではわりあい浅いところに出現する傾向があり、これは15mくらいだった。モ…

深いところが苦手な魚たち

ムラサメモンガラを撮りたくても、見つけられないことがあった。数十年前の話だが、探す場所が悪かったのだ。ボートダイビングでは、エントリーすると深く潜行しがちになる。その後ビーチエントリーしたとき、水深2~3mにいたのだ。浅瀬に住む習性をもつ種も…

魚の死骸を見かけないワケ

ダイビング中、魚の死骸を見た人はほとんどいないのではないだろうか。魚も病気やケガはするし、寿命もある。目につく魚はとても多いにもかかわらず、死骸はまずない。これまで見たのは約8個体。漁網にかかったり、釣り人が捨てたものは除いている。数千本潜…

コケギンポ科の不思議

「ステイホーム」の模範となるのがコケギンポ類。巣穴から出している顔は可愛く、マクロ撮影定番の被写体だ。コケギンポ類はサンゴ礁域では見た覚えがないので、日本の温帯域に4種くらいしかいないと思っていた。ところが『日本魚類館』(小学館)には、14属…

ピグミーシーホース最新情報

ピグミーシーホースとは、大きさが2cm前後のタツノオトシゴの仲間のこと。サンゴの仲間のヤギ類を宿主にし、カムフラージュが上手な魚の代表ともいえる。 最初に発見されたのは約50年前で Hippocampus bargibantiという学名で1970年に新種記載されたが、ダイ…

雑種いろいろ

前回、異種間ペアを取り上げたので、次は雑種を。雑種とは、異なった種類の雌雄の間に生まれた個体のことで、交雑種あるいはハイブリッドともいう。魚で比較的雑種が多いのは、チョウチョウウオ科とキンチャクダイ科。まずは前回取り上げたペアの子孫(?)から…

なぜ? 異種間ペア

ペアとは、二人で一組になることや、デザインなどに共通点を持った二つの物の一組を指すが、魚の場合は同種の成熟した雌雄の番いのことをいう。ペアで行動しているのはチョウチョウウオ類が多いが、時折別種のペアを見ることもある。異種間ペアといい、これ…

紆余曲折のカモハラトラギス

トラギス類は好奇心が強く、他の魚を撮影していると近寄ってくる。したがって、正面顔が撮りやすい。トラギス科は日本に30種分布している。初めて柏島を訪れた91年、転石帯で見たことがないトラギスを撮影した。図鑑を見ても載っていなかった。見たことがな…

今だからこそ魚の笑顔

「ステイホーム」ということで、テレビやネットでは「おうちで楽しもう!」とか「今だからこそ笑顔で乗り切ろう!」などのコンセプトでつくられた動画が盛り上がりをみせている。そこで、魚の笑顔をお届けしたい。といっても魚は笑わないと思うので、笑って…

特徴ある唇で自己主張

魚の中には、変わった口というか唇をしたものもいる。そんな魚を集めてみた。こちらはイサキ科のチョウチョウコショウダイで、唇が分厚いのが特徴。特に何もしていなくても、自己主張しているように見える。チョウチョウコショウダイ(ラジャアンパット) 受…

色彩変異豊富なルリヤッコ

キンチャクダイ科アブラヤッコ属は、日本に11種分布している。いずれも小型種で、警戒心が強い。大きさは10cm前後。11種の中で最も広く分布しているのはルリヤッコで、西はアフリカ東部(インド洋)から東はタヒチ付近(中部太平洋)まで。日本では奄美大島…

一期一会の魚(その2)

03年にダイビング雑誌の取材で伊豆大島を訪れたとき、ソウシイザリウオに初めて出会った(数年後、イザリウオは差別用語とされ、カエルアンコウに改名)。岩の間にいたので、このようなアングルでしか撮れなかった。ハッキリした縞模様が特徴なのだが、模様…

一期一会の魚(その1)

これまでいろいろな魚に出会って撮影してきた。中にはたった1回というものもいる。そこで、自分にとっての「一期一会の魚」を取り上げてみよう。まずはホシフグ。青森県以南の日本、南シナ海、ニュージーランド、ニューカレドニア、南アフリカ、アルゼンチン…

アマチュア時代のモノクロ写真

写真を始めたのは高校生のとき。兄のカメラにモノクロフィルムを入れ、風景写真を撮り始めた。我が家には暗室があったので、現像や引伸ばしは自分で行った。 1963年(21歳のとき)にニコノスが発売。翌年購入して初のマイカメラに。水中も当初はモノクロで撮…

青く輝くとき

魚は種により、ここぞというときに青く輝くことがある。青色は魚たちにとって、何らかの信号になっているようだ。イシガキカエルウオのオスは、繁殖期に喉のあたりが青くなることがある。メスに対してのアピールと考えられている。喉を青くしてアピールする…

おうちで海気分(海外編)

日本にツバメウオ類はツバメウオ、アカククリ、ミカヅキツバメウオ、ナンヨウツバメウオの4種が分布している。このナンヨウツバメウオは生息数が少ないため、あまり見られない。これほどまでの大群になるのは、紅海だからだろう。ナンヨウツバメウオの群れ(…

おうちで海気分(国内編)

活動自粛が長引くなか、テレビやネットでは「おうちで〇〇」という、自宅でできるバーチャル体験などをたくさん提案している。今ごろは海に行っているはずだったという方も多いと思うので、「おうちで海気分」。クマササハナムロの群れ(座間味) サンゴは触…