大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

深いところが苦手な魚たち

ムラサメモンガラを撮りたくても、見つけられないことがあった。数十年前の話だが、探す場所が悪かったのだ。ボートダイビングでは、エントリーすると深く潜行しがちになる。その後ビーチエントリーしたとき、水深2~3mにいたのだ。浅瀬に住む習性をもつ種もいることを知った出来事だった。今回は浅いところでしか出会えない魚たちを紹介しよう。
ムラサメモンガラ(沖縄・崎本部)

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ムラサメモンガラと同じモンガラカワハギ科のクラカケモンガラも、礁池の水深2~3mに生息する。日本では生息数が少ないので、見られる確率は低い。
クラカケモンガラ(マブール)

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スズメダイ科では、極端に浅いところだけに生息する種が少なくない。ミヤコキセンスズメダイもそうで、成魚、幼魚ともに水深1~2mに生息する。幼魚は伊豆半島にも現れ、成魚より色彩鮮やかなため、観賞魚として人気がある。
ミヤコキセンスズメダイの成魚と幼魚(沖縄・崎本部)

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シマスズメダイも岸近くの浅いところに生息するので、あまりお目にかかれない。婚姻色は縞模様のコントラストが強くなり、まるで別種のように見える。
シマスズメダイ(沖縄・真栄田岬)

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ハゼ科クロイトハゼ属のサザナミハゼも浅いところに生息する。同属のクロイトハゼやオトメハゼなどは水深10mくらいでも見られるが、本種は3m前後。生息数も多くないので、出会える機会はあまりないかもしれない。
サザナミハゼ(座間味)

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