スズメダイ科ミスジリュウキュウスズメダイ属は、日本に4種分布している。フタスジ、ミスジ、ヨスジを冠するリュウキュウスズメダイとミツボシクロスズメダイだ。この中でヨスジリュウキュウスズメダイは、沖縄本島以南の西部太平洋に分布している。尾ビレにも黒帯があるのが特徴。日本にはきわめて少ないので、見つけたときは幸せな気分になる。
ヨスジリュウキュウスズメダイに初めて出会ったのは、35年前の座間味島。水深5mほどの根のそばのサンゴにいた。幼魚だったが、フタスジとミスジと一緒にいて、まるでフィッシュウォチングの教科書のようだった。
本種は内湾の枝状サンゴに生息している。したがって浅いところにいることが多いのだが、座間味島の北東部にある入江の水深約15mで成魚を見つけたことがある。これまでで一番深い。その後日本では座間味で3個体見ただけ。やはり希少な魚といえる。代表的な魚類図鑑『日本の海水魚』(山と渓谷社)に載っているのは、15mで撮った写真だ。
海外では比較的多く、パプアニューギニア(PNG)やインドネシア、フィリピン、マレーシアなどで見られる。
とはいえ、いたと思って近寄ると、ミスジリュウキュウの場合がけっこうある。だから見つけるとやっぱりうれしくて、幸せな気分になる。四つ葉のクローバー的な魚なのだ。
見つけるとうれしくなるヨスジリュウキュウ(ラジャアンパット)