大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

ヒョウモンダコの真実

昨夜の「ザ!鉄腕!DASH!!」はわりあいおもしろかった。アケボノチョウチョウウオはともかく、ヒョウモンダコの実体を明確にしてくれてよかった。というのは、ヒョウモンダコ三浦半島や伊豆周辺で見つかると、「"殺人ダコ"温暖化で北上!」と新聞・テレビで報道される。その都度、以前からいたのに、と思っていたのだ。

2013年の報道。鉄腕DASHより

f:id:youjiuo:20210201172934j:plain

 

「ザ!鉄腕!DASH!!」の中では、観音崎ヒョウモンダコを見つけて採集し、観察後海に返したが、同行していた観音崎自然博物館の研究員・山田和彦氏は、以前からヒョウモンダコは温帯域にいて、報道による「北上」は間違い。沖縄などのサンゴ礁域に分布する、別種のオオマルモンダコと混同していると言及された。どちらも咬まれると死に至ることもあるほど強毒。外見上の両種の違いは、胴体の模様だ。

ヒョウモンダコ(左)とオオマルモンダコ

f:id:youjiuo:20210201173222j:plain

 

山田氏のような人が出てくるのを待っていたので、実にスッキリした。昔は小さな生きものに関心があるダイバーは少なかったし、それでなくてもふだんは保護色なので、簡単には見つからなかったのだ。刺激を与えると威嚇して青い模様が現れ、ようやく気付くのだが、そのようにして一般ダイバーに知られるようになったのは、ここ15年くらい前からだろう。

少し青い模様が現れたヒョウモンダコ(東伊豆・富戸)

f:id:youjiuo:20210201173744j:plain

 

前述したような誤った報道は、ワイドショーなどに多い。おそらく「危険」と「温暖化」を組み合わせることによって、よりインパクトの強いニュースになると思っているからだろう。報道をするには、視聴率を考える前に裏付けを取ることが大事だと思う。

模様が出てき始めたヒョウモンダコ伊豆大島

f:id:youjiuo:20210201173938j:plain