大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

地域変異豊かなトウアカクマノミ(1)

クマノミ類の中で最も多く接したのがトウアカクマノミ。約40年前、長期にわたって生態を撮影したことがある。トウアカクマノミは体が黒か茶色で、背中に鞍のような白い模様があり、顔がオレンジ色をしている。日本では沖縄にしか分布していない。座間味島・阿護ノ浦の水深3mにいるトウアカクマノミを長期に撮影していた。

トウアカクマノミのペア(座間味・阿護ノ浦)

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西部太平洋に広く分布しているトウアカクマノミだが、日本では沖縄本島が北限になる。したがって、奄美大島では見られない。

西部太平洋の地図。オレンジがトウアカクマノミの分布

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本種は体色・斑紋以外にも特徴的な部分がある。共生できるのは主にイボハタゴイソギンチャクで、生息場所が内湾の砂地に限られているのだ。昔は沖縄本島にもこのような環境はたくさんあったが、ほとんどが埋め立てられ、生息数も減少した。慶良間諸島渡嘉敷島のトカシクビーチ沖の砂地に数組のトウアカクマノミがいる。水深は約20mで、いずれも体色は茶色だ。

茶色いタイプのトウアカクマノミ(渡嘉敷)

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04年、阿嘉島のニシハマ北側のポイントで、トウアカクマノミが見つかった。水深約14mの砂地にマバラシライトイソギンチャクがあり、そこにいたのだ。当初は成魚と幼魚が1尾ずつと、クマノミの幼魚1尾の3尾だった。数年後にトウアカは成魚のペアになり、幼魚も1尾増えていた。

マバラシライトイソギンチャクに住むトウアカクマノミ(ニシハマ)

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沖縄本島西海岸にもトウアカクマノミがいる。瀬良垣ビーチ沖で、水深が約19mのガレ場だ。ここは深いために埋め立てに適さなかったのだろう。ガレ場の広い範囲に数組見ることができた。

生き延びられたトウアカクマノミ(瀬良垣)

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西表島のトウアカクマノミは昔から写真で見ていたが、実際に撮影したのは56年前。水深約19mの砂地のイボハタゴイソギンチャクにいた。体色は茶色だった。日本のトウアカクマノミは白の鞍模様は変わりないものの、体色は黒と茶色の2色があり、水深10mを境に浅いと黒、深いと茶色だった。

茶色いタイプのトウアカクマノミ(西表)

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