ハゼ科キヌバリ属のニシキハゼ、リュウグウハゼ、チャガラ、キヌバリの4種は、北海道または青森から九州にかけて分布している。日本固有種と思いきや、朝鮮半島南部にも分布しているため、惜しくも固有種ではない。
ニシキハゼは全長約20cmになり、転石帯などに生息している。初めて見たのは真鶴で、1960年代後半。体色がわりあいきれいだったこともあり、もっと南の魚かと思っていた。
ニシキハゼ(大瀬崎)
リュウグウハゼは全長約15cmになり、半透明の体にやや太めの黒帯が入っている。岩礁域の砂礫底か砂底に単独~数尾の群れで生息する。分布域の北部では生息水深が数mだが、南部では40~50mと深くなる。低水温を好むからだろう。
チャガラは全長約8cmになり、体側に黄色の細い縞模様があるのが特徴。岩礁域の海藻付近に生息する。幼魚や若魚は群れる傾向が強いが、成魚になると単独か数尾の群れになる。
チャガラ(大瀬崎)
キヌバリは全長約14cmになり、岩礁域に生息する。幼魚は群れで浮遊しているが、成魚は単独か数尾の群れでホバリングしている。本種は太平洋型と日本海型があり、縞模様の帯の本数が異なる。
日本海型のキヌバリも生態的には太平洋型と変わりない。太平洋側の宮城県あたりでは日本海型のキヌバリが見られるらしい。その理由は、対馬海流が夏季に強まって津軽海峡を通過するため、本種の仔魚も海流と共に移動してきて繁殖したものと考えられる。
黒帯が少ない太平洋型のキヌバリ(東伊豆・赤沢)