大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

体色変化著しいホウライヒメジ

ヒメジ科のホウライヒメジは、房総半島以南の太平洋、インド洋に分布している。全長約40cmになり、岩礁域やサンゴ礁域に単独あるいは10尾前後のグループで行動する。体色は薄茶で、口元から体の後方に暗色の帯が2本あり、尾柄部に黒斑が入っている。

ホウライヒメジ(三宅島)

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近縁種のオキナヒメジと混同されているが、本種は尾柄部の黒斑が側線を越える。つまり黒斑が大きいと図鑑に記されている。改めて確認したら、手持ちの写真にオキナヒメジはなかった。本種は伊豆諸島に多いようで、エサを求めて行動している姿がよく見られる。群れのときはそれぞれ体色が異なっているので、ちょっとしたことですぐ変化するようだ。

群れで行動する(八丈島

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沖縄にも分布するものの、出会った記憶はない。別種もたくさんいるので、見落としているのかもしれない。グアムで単独の本種を見かけた。サンゴの上で休んでいたので、おそらくクリーニングフィッシュを待っていたのだろう。

海底で休む(グアム)

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クリーニングを受けている本種に出会ったことがある。みるみるうちに体色が変化し、信じられないほど真っ赤になった。

クリーニングされて真っ赤に(八丈島

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オーストラリア・ブリスベンから約600km沖合に、ロードハウという世界遺産の島がある。20年前に固有のクマノミを撮影に行ったとき、ホウライヒメジに出会った。日本から遠く離れたこんな絶海の孤島に、ホウライヒメジが生息していて驚いたのを今でも覚えている。

群れで行動するホウライヒメジの若魚(ロードハウ島)

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