タイの東側は太平洋で、ダイビングで知られるいるのはサムイ島とタオ島だ。ただしサムイ島の周辺は砂地のため、滞在したとしても潜るのはタオ島付近になる。この二つの島がある海域は大きな湾(タイランド湾あるいはシャム湾と呼ばれる)で、やや閉鎖された環境のため、魚類相がちょっと変わっている。
ツキチョウチョウウオは他の海域ではあまり見られないが、タオでは生息数も多く、運がよければ群れにも出会える。
クロリボンスズメダイも多く、これほどたくさん見られる海は珍しい。水温が常に高いためか、繁殖行動も頻繁に見ることができる。
タオ島にはサンゴ礁や岩礁、砂地、ガレ場などさまざまな環境が揃っていることで、魚類相が豊富だ。ハゼ類も多く、珍しいギンガハゼもあちこちで見られ、色彩変異にも容易に出会うことができる。
ギンガハゼのペア(タオ島)
クマノミ類ではハナビラクマノミとトウアカクマノミが多い。特に後者は、ビーチ沖の砂地に何10組も生息している。地元のダイビングサービスでは毎日にように観察してデータを取っているため、繁殖に関する撮影も難なくできる。
タオ島ではハナダイ類はあまり見られない。しかし、ある一定のポイントではアカオビハナダイが群れている。あまり生息数が多いハナダイではないので、群れで見られるのは鹿児島県・錦江湾くらい。したがって不思議としかいいようがない、このように1種類の魚がたくさん生息しているというのが、タイの太平洋側の特徴といえよう。
アカオビハナダイの群れ(タオ島)