大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

ツユベラとその近縁種について

ベラ科カンムリベラ属のツユベラは、全長約30cmになる。相模湾以南の西部太平洋、東部インド洋に分布している。幼魚は赤い体に白の斑紋があり、観賞魚として人気が高い。成長とともに体色・斑紋は変化するうえ、メスからオスに性転換するため、体色変化は著しいが、幼魚以外、尾ビレは黄色い。

ツユベラの成魚と幼魚(座間味)

 

東インド洋のタイ・プーケットには、ツユベラによく似たベラがいる。ツユベラの分布域なので地域変異かもしれない。しかし、インド洋には他に3種くらい近縁種がいるため、判別は難しい。

ツユベラの地域変異?(タイ・プーケット

 

3種とはフォルモサ・ラス、インディアン・サンド・ラス、アフリカン・サンド・ラスだが、インド洋の魚類が載っている図鑑を見ても、微妙に違っていたりするのでわかりにくい。

アフリカン・サンド・ラスに近い個体(タイ・プーケット

 

インド洋のモルディブでもツユベラ近縁種に出会った。『世界の海水魚』によるとフォルモサ・ラスなのだが、もう1冊の海外の図鑑ではインディアン・サンド・ラスになっている。どちらの図鑑もかなり古いので、疑わしい。海外の魚類に関する情報は入りにくいので、何とかしたいところだ。

ツユベラの近縁種(モルディブ

 

幼魚にも出会った。ツユベラの幼魚と違い、背ビレに目玉模様があった。アフリカン・サンド・ラスの幼魚には目玉模様がないので、おそらくツユベラの近縁種の幼魚だろう。それを確かめるため、成長過程の個体も見てみたいものだ。

ツユベラの近縁種の幼魚(モルディブ