ハゼ科のサラサハゼは全長約10cmになり、伊豆半島以南の太平洋、インド洋に分布している。主にサンゴ礁域のガレ場に大抵ペアで生息し、岩などの下に巣穴をもっている。海底から数cm浮かんでゆっくり移動し、たまに海底の砂を口に含む。有機物や小動物を捕らえているものと思われる。
サラサハゼのペア(グレートバリアリーフ)
体色・斑紋は個体によって変異があり、明るい茶色に褐色の縞模様が複雑に入っていたりする場合が多いのだが、全体がかなり黒っぽいタイプも見られる。共通する点は、第一背ビレが三角形で、尾ビレ上方に黒点があることで、これが本種の特徴になっている。
黒っぽいタイプのサラサハゼ(グレートバリアリーフ)
生息場所は前述したようにサンゴ礁域だが、内湾などの穏やかなところを好むようだ。生息水深も3~10mと浅い場所が多く、行動範囲もさほど広くない。繁殖生態はわかっていないが、おそらく巣穴で産卵し、卵がふ化するとある期間浮遊生活を送り、生き残った稚魚が海底にたどり着いて巣穴を掘って定着するのだろう。その後どうしてペアになるのか不思議でしかたがない。
サラサハゼのペア(座間味)
あるとき、本種の幼魚に出会った。全長4cmほどの個体が巣穴から姿を現したのだ。この大きさなら定着して1~2年経っているだろう。しばらく見ていたが、単独のようだ。ペアになるために、特殊なフェロモンを出すのだろうか。
全長約4cmの幼魚(座間味)
インド洋のモルディブでサラサハゼに似たハゼを見つけた。斑紋の感じから別種と思っていたが、調べtるうちにサラサハゼは体色・斑紋のバリエーションが豊富ということがわかったので、「地域変異」とした。
インド洋のサラサハゼ(モルディブ)