大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

クロイトハゼ属の生態(1)

ハゼ科クロイトハゼ属は、日本に約10種分布している。主にサンゴ礁域の砂礫底にペアで生息する。大きさは10cm前後。同属で最も生息数が多いのがアカハチハゼ。ペアで行動するのはもちろんだが、体を密着して移動することが多い。
アカハチハゼのペア(座間味)

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岩の下に巣穴を持ち、危険を感じたときや産卵のときに利用する。繁殖期になると、巣穴の入口に小石などを積み重ねる習性がある。
小石を運んで入口付近に積む(座間味)

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クロイトハゼも前種と同じ行動をとるが、移動するときはそれほど密着しない。本種を初めて見たのは西伊豆・大瀬崎だったので、温帯域の魚かと思ったが熱帯域にも分布いたのでびっくりした。
クロイトハゼのペア(伊豆大島

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やはり巣穴の入口に小石を運んで積む習性がある。入口は2か所あり、片方の入口に小石を積んで高さを変えることにより、潮が巣穴に入りやすくなって卵に良いらしい。この説が事実なら、とても賢い魚だ。
小石を運ぶクロイトハゼ(伊豆大島

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ササハゼは独特の体色・斑紋で、ひと目で他種と区別できる。このハゼも大瀬崎で初めて見たので、温帯域の魚かと思ったが、フィリピンや座間味にもいた。ただ、巣穴を作ったりしている行動はまだ見ていない。
ササハゼ(大瀬崎)

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