キンチャクダイ科のキンチャクダイは、魚類図鑑によると東アジア温帯大陸棚域沿岸固有とある。温帯種ということだろう。分布は山形県および千葉県以南~九州南岸、済州島、台湾、中国沿岸、ベトナムで、奄美や沖縄のサンゴ礁域では見られない。本種は成長とともに体色・斑紋が著しく変化することで有名。
約20cmのキンチャクダイ成魚(錦江湾)
台湾やベトナムでの生息状況はわからないが、日本では四国や九州が最も生息数が多いと思う。伊豆半島でもさまざまな成長過程の個体が見られるが、かなり通わなけらばならないうえ、運にも左右される。ところが、鹿児島県の錦江湾では、幼魚から成魚に至るまでのあらゆる成長過程の個体を見ることができる。
約4cmのキンチャクダイ幼魚(錦江湾)
錦江湾にはたった2回しか行っていないにもかかわらず、すべての成長段階の個体を撮ることができた。それだけ生息数が多いということだろう。
青い線が現れ始めた約6cmの幼魚(錦江湾)
さらに成長すると、青い線は後ろのほうまで伸び、目の後ろの黄色い帯は細くなって消え始める、しかし、この写真の個体のように、黄色い帯がなかなか細くならない個体もいる。
青い線は伸びたが、黄色い帯が太い約8cmの幼魚(錦江湾)
全長10cmくらいになると、成魚とほぼ同じ模様になるが、全体的には青っぽい。これから成長するにつれて、顔付近から後方にかけ、黄色味が強くなってくる。
まだ青みが強い約12cmの未成魚’(錦江湾)