大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

なぜ? 異種間ペア

ペアとは、二人で一組になることや、デザインなどに共通点を持った二つの物の一組を指すが、魚の場合は同種の成熟した雌雄の番いのことをいう。ペアで行動しているのはチョウチョウウオ類が多いが、時折別種のペアを見ることもある。異種間ペアといい、これまで日本で観察したなかで最も多かった片方は、アミメチョウチョウウオだった。
アミメチョウチョウウオ(上)とベニオチョウチョウウオ奄美

f:id:youjiuo:20200522114240j:plain

 

チョウチョウウオ類の雌雄は外見ではわからないが…ここではペアとする)。
アミメチョウチョウウオが異種間ペアを組む理由は、日本が北限に当たるため生息数が少ないからだ。といっても相手は誰でもいいというわけではない。繁殖不可能な相手と組んでも無駄になる。そのへんは本能的に知っているようだ。
アミメチョウチョウウオ(上)とカガミチョウチョウウオ奄美

f:id:youjiuo:20200522114258j:plain

 

オーストラリアのジェラルド・アレン博士は、チョウチョウウオチョウチョウウオ属(カエトドン属)をさらに13亜属に分けている。アミメチョウやベニオチョウ、カガミチョウはロムボカエトドン亜属とのこと。同じ亜属であれば繁殖はゼロではないらしい。
アミメチョウとカガミチョウの組み合わせは結構多い(石垣島

f:id:youjiuo:20200522114319j:plain

 

カガミチョウのペアに単独のアミメチョウがずっと付きまとっていたことがある。同種の繁殖相手になかなか出会えず、近縁種がいたのでチャンス到来と思って付きまとっていたようだ。
カガミチョウのぺアとアミメチョウ(奄美

f:id:youjiuo:20200522114339j:plain

 

ヤシャハゼとヤノダテハゼが同じ巣穴にいた。異種間ペアだが、繁殖が目的ではない。ヤシャハゼはネジリンボウ属でヤノダテハゼはダテハゼ属。属が異なるので繁殖は不可能。おそらくヤシャハゼがヤノダテハゼの巣穴に身を守るために入り込んだのだろう。
ヤシャハゼ(上)とヤノダテハゼ(沖縄・崎本部)

f:id:youjiuo:20200522114355j:plain