キンチャクダイ科アブラヤッコ属は、日本に11種分布している。いずれも小型種で、警戒心が強い。大きさは10cm前後。11種の中で最も広く分布しているのはルリヤッコで、西はアフリカ東部(インド洋)から東はタヒチ付近(中部太平洋)まで。日本では奄美大島や沖縄で見られる。
サンゴの間を移動するルリヤッコ(座間味)
体色は青で、体側にオレンジ色がぼんやり入っているが、個体によってかなり違う。沖縄や奄美で観察したところ、幼魚期は青の範囲が広い傾向だった。
ルリヤッコの若魚(奄美)
以前、インドネシアのメナドで撮影したルリヤッコは、オレンジ色の範囲がかなり広かった。
オレンジが多いルリヤッコ(メナド)
ニューカレドニアでは白っぽい個体に出会った。当初はルリヤッコとは思えないほど。後日手元にあるキンチャクダイ科の図鑑『Angelfishes』(TMC)を見たら、同じ白っぽいタイプも載っていたので納得できた。それだけではなく、かなりバリエーションがあることがわかった。
『Angelfishs』のルリヤッコのページ。色彩変異が多い
この図鑑によると、深いところに生息するルリヤッコは白っぽくなる傾向があると記されている。だが、ニューカレドニアのものは水深20mくらいなので、それほど深くない。別の理由がありそうだ。
白っぽいタイプのルリヤッコ(ニューカレドニア)
警戒心が強く、サンゴのすき間や岩の間を移動するので、観察したり撮影するのは難しいが、こういったあまり表に出ない魚にも注目してもらいたいものだ。
ルリヤッコのペア(座間味)