大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

雑種いろいろ

前回、異種間ペアを取り上げたので、次は雑種を。雑種とは、異なった種類の雌雄の間に生まれた個体のことで、交雑種あるいはハイブリッドともいう。魚で比較的雑種が多いのは、チョウチョウウオ科とキンチャクダイ科。まずは前回取り上げたペアの子孫(?)から。
アミメチョウとカガミチョウの雑種と思われる個体(沖縄)

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雑種は、両親の体色・斑紋の特徴が半分ずつ現れるといわれている。このチョウチョウウオは、体側の模様がオウギチョウチョウウオみたいだが、ゆるやかなカーブはハナグロチョウチョウウオと同じ。また、顔もハナグロチョウチョウウオ似。ちなみにこの個体はオウギチョウチョウウオとペアになっていた。
オウギチョウとハナグロチョウの雑種と思われる個体(座間味)

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キンチャクダイ科の中で雑種がわりあい多いのはナメラヤッコ属のコガネヤッコだ。分布の中心がポリネシアミクロネシアなどの中部太平洋なので、そこから少しでもずれると極端に生息数が少なくなるからだろう。
コガネヤッコとナメラヤッコの雑種と思われる個体(座間味)

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従来アカネキンチャクダイといわれていた種は、体色・斑紋にばらつきがあるため、キンチャクダイの雑種とみる研究者が多かった。また、体色・斑紋は二つのパターンに大別されることから、一方はホシゾラヤッコ、もう一方はキヘリキンチャクダイと考えられている。キンチャクダイとホシゾラヤッコの雑種と思われる個体が左で、右はキンチャクダイとキヘリキンチャクダイの雑種と思われる個体。
それぞれキンチャクダイの雑種と思われる個体(柏島

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ベラ類もまれに雑種が見られる。昔、ソメワケベラの雑種と思われる個体を撮影した。その後『伊豆海洋公園通信』でソメワケベラとスミツキソメワケベラの雑種が紹介された。しかしそれとは少し異なることから、相手はホンソメワケベラと考えられる。
ソメワケベラとホンソメワケベラの雑種と思われる個体(水納島

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約20年前、八丈島で変なミギマキを撮った。『伊豆海洋公園通信』に載っていた記憶があったので調べると、ミギマキとタカノハダイの雑種とのことで、模様などから同一個体と判明。掲載の写真は加藤昌一氏が93年12月に撮影とあるので、約7年半後ということになる。尾ビレの先が欠けていたにもかかわらず、正常に戻っていたのには驚いた(右上が伊豆海洋公園通信)。
ミギマキとタカノハダイの雑種と思われる個体(八丈島

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