イットウダイ科のトガリエビスは、全長40cm以上にもなるらしい。しかしよく出会うのは30cm前後が多い。紀伊半島以南の太平洋、インド洋に分布し、岩穴などやや暗いところに生息している。
最初にトガリエビスに出会ったのは座間味島で、80年代初めごろだった。とても警戒心が強く、岩穴からまったく出ないため、撮影できなかった。数年後、なんとか粘って正面顔が撮れたが、表情はイマイチだった。
警戒している正面顔(88年、座間味)
そのあと海外のパラオやモルディブにも行くようになり、トガリエビスの性格が日本とはぜんぜん違うことを知った。
小さなエビにクリーニングされる様子も簡単に撮れた。
ベンテンコモンエビに掃除され、エラを広げる(93年、モルディブ)
どうして日本と海外のトガリエビスは性格が異なるのだろうか。自分なりに分析すると、漁業などの違いの他、生息数ではないかと思った。数が多いと警戒心が弱まる傾向があるからだ。モルディブではとにかく多く、群れていることもある。そのこともあって岩穴から出ていることも多い。
群れで外に出ていることも(08年、モルディブ)
日本でも10数年前からはだいぶ警戒心が薄くなっている。岩穴からも少しずつ出るようになった。そのお陰で、ヘラヤガラに乗られた写真が撮れた。でも不思議なことがある。トガリエビスの幼魚を見ないことだ。いったいどこにいるのだろうか。