大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

2018-01-01から1年間の記事一覧

コモド諸島クルーズ2018(2)

北エリアでダイビングを終え、クルーズ船は一気に南下。翌朝、南エリアの代表的なポイント「カーニバル」のそばに停泊していた。南エリアはオーストラリア沖からの湧昇流の影響により、栄養分豊富な冷たい海水が入り込む。そのため生物相は北エリアとは異な…

コモド諸島クルーズ2018(1)

コモド諸島ダイブクルーズは、フローレス島のラブハンバジョーから日曜日に出港する。そのためクルーズ参加者は、基本的にはバリ島に土曜日集合で、翌朝国内線でフローレスに向かう。 消火器をタンクに見立てた壁画 今までバリへは成田からの直行便だったが…

コモド諸島の魚たち

明日からコモド諸島ダイブクルーズに行く。コモドに初めて行ったのはちょうど10年前で、いろいろな魚が見られたうえにエキサイティングなダイビングができた。以来毎年のように通っている。 ウロコマツカサ 今回は10年目を記念(?)して、2008年に撮影した写真…

気になるヒフキアイゴの黒斑

アイゴ科のヒフキアイゴは紀伊半島以南の西部太平洋、インド洋に分布している。本州で見られるのはたぶん幼魚で、成魚が主に生息するのは沖縄などサンゴ礁域。また、熱帯域に分布するのは体側に黒斑がない、フォックスフェイスという別種になる。 個体によっ…

浮遊系生物写真

浮遊系生物写真が流行っている。ほとんどの生物はふ化と同時に浮遊生活をするので、それらに目を向けることで新たな発見もあるようだ。撮影方法は、夜間にボートからライトを吊るし、灯りに集まって来る生物を写す。 峯水氏の写真。DIVER 9月号より 16年、ナ…

「ヒメ」と付く魚

魚の名前には「ヒメ」を冠したものがわりあい多い。列挙するとヒメツバメウオ、ヒメウツボ、ヒメアイゴ、ヒメギンポ、ヒメオニオコゼ、ヒメダテハゼなど…。 南方系のヒメダテハゼ これらを見てみると、例外はあるものの「ヒメ」が付かない種より体が小さい。…

アイゴについて

アイゴ科は日本に13種分布している。ほとんどはサンゴ礁域に生息しているが、アイゴだけが温帯域に適応した種だ。分布も青森以南となっている。 アイゴ(81年、済州島) 昔の図鑑は、青森以南~九州(琉球列島は除く)と記されていた。しかし、シモフリアイ…

「ジャパピグ」が新種に!

日本で発見されたピグミーシーホースが新種になった、と『ナショナルジオグラフィック』のメールマガジンに載っていた。新種記載したのは米の魚類学者グレアム・ショートで、科学誌『Zookeys』に論文を発表したとのこと。 ナショジオのメルマガより 学名はHi…

小枝のようなヨウジウオ

ヨウジウオの仲間は、海底を這うタイプと浮遊するタイプに分けられる。ワカヨウジは後者で、全長約40cmになる。ヨウジウオの仲間では大型の部類になる。 小枝のようなワカヨウジ(奄美) 伊豆半島以南の太平洋、インド洋に広く分布し、転石帯の砂地やガレ場…

ケラマブルー

テレビ朝日「旅サラダ」で、女優・瀧本美織が慶良間諸島の阿嘉島を訪ねた。「ケラマブルー」の海へ、ということだった。 ニシハマを望む瀧本美織。「旅サラダ」より しかし、ロケ当時は良い天気ではなかったため、本来のきれいなブルーではなかった。 という…

人気者になったフグ

30年くらい前、一躍人気者になったフグがいた。慶良間のニシハマというポイントのサザナミフグで、餌づけによって人間を恐れなくなったのだ。 サザナミフグのポンタ(87年、座間味) ただそれだけではなく、ダイバーを見つけると愛くるしい表情で近寄ってく…

クリーナーシュリンプ(2)

オトヒメエビは昔からクリーナーシュリンプとして知られていた。しかしそれほど熱心ではないので、クリーニングが見られたらラッキーと思っていい。 オトヒメエビとドクウツボ(コモド) これまでオトヒメエビのクリーニングは3ヵ所でしか撮れていない。水納…

クリーナーシュリンプ(1)

魚の体には寄生虫が付きやすい。自分では取れないので、専門の魚やエビに掃除(クリーニング)してもらう。クリーニングするエビは日本に約10種いて、それらをクリーナーシュリンプという。 ハクセンアカホシカクレエビとヨソギ(赤根) 約40年前、真鶴や熱…

タコが動けば…

タコはふだん岩の下や隙間に隠れているが、時折出ることがある。もちろん天敵がいないか入念に確認する。外に出る理由は、エサを探すため、居場所を替えるため、繁殖相手を探すためなどさまざま。 ワモンダコとオジサン(奄美) 日本のサンゴ礁域で見られる…

3年ぶりの隅田川花火

7月最終土曜開催の隅田川花火大会。今年は台風で日曜に延期された。東京を離れていたので3年ぶりだが、今の住まいからは建物に遮られて見えない。 テレビ東京の中継より そこで、18時半から放送のテレビ東京の実況を見ることに。第一会場は18時55分に打ち上…

ヒラメの話

水産資源として重要な食用魚は、昔から研究されていた。いうまでもなく、漁獲高を上げるためだ。定置網を仕掛ける場合も、対象魚の回遊ルートや習性を把握することで最適な場所がわかる。 全長約70cmのヒラメ(柏島) また、大きめの魚は養殖も視野に入れて…

日本海で繁栄・キジハタ

ハタ類の大部分はサンゴ礁域に分布している。温帯域のみに分布するハタ類の代表はキジハタだ。分布は青森県以南、朝鮮半島南部、中国沿岸。南西諸島には分布しない。 海藻が似合うキジハタ キジハタは全長35cmほどで、黄色っぽい体にオレンジ色の丸い斑点が…

ひまわりパワー

夏の花といえば、ひまわり。暑さにもめげず、天に向かって咲いているのを見ると元気になる。 座間のひまわり畑 たくさん咲いているのは圧巻なので、神奈川県座間市に何度か行ったことがある。ただ遠いのが難点だ。 佐倉ふるさと広場のひまわり畑 そんな折り…

猛暑お見舞い

猛烈な暑さが続いている。17日朝テレビの画面に「高温注意情報」が流れ、各地の気温と予想最高気温が標示された。東京都心の9時の気温は32.2℃で、予想最高気温は35℃だった。 キンメモドキ(座間味) 異常なほどの暑さなので、少しでも涼し気な写真を揃えてみ…

セミホウボウの胸ビレ

大きな胸ビレが特徴のセミホウボウ科のセミホウボウ。ホウボウ科と近縁かと思いきや、近年の分子遺伝学研究からサギフエ科、ヘコアユ科、ヤガラ科、ヨウジウオ科などに近いらしい。 胸ビレの模様は個体によって異なる(奄美) セミホウボウは、千葉県および…

ゴンズイの真実

ダイバーならゴンズイに出会ったことがあるだろう。毒トゲがあるので、有害生物としても有名だ。そんな誰でも知っているゴンズイの新種記載が10年前と聞いたら驚くに違いない。 整然として移動するゴンズイ(奄美) それまで日本でゴンズイ科は、ゴンズイ Pl…

クラカオスズメダイについて

クラカオスズメダイの「クラカオ」が以前から気になっていた。どういう意味なのだろうか。学名はAmblyglyphidoden curacaoで、 種小名をそのまま和名にしていた。 シャコガイの殻に産卵中(コモド) 「curacao」はカリブ海のある島の地名らしい。学名はロー…

2枚の組写真

先日、富士フォトギャラリー銀座で開催された写真展「水のとき」Vol.7を見た。出品者は水中写真愛好家グループで、企画・監修は中村征夫氏が行っている。 写真展「水のとき」会場 今回は2枚の組写真での展示だった。このような試みは初めてだと思う。ものに…

ニジギンポの繁殖について

イソギンポ科のニジギンポは、温帯域から熱帯域まで広く分布している。オスの全長約12cmで、メスは約8cm。白と焦げ茶色のスジ模様があるが、体色はよく変化する。 ブイの周りに群がるニジギンポ(奄美) ブイやロープがあると、大抵多くのニジギンポが近くで…

クサビベラのエサの捕り方

ベラ科イラ属のクサビベラ。三角形の楔(くさび)に似た模様があるためこの名が付いた。大きさは約35cmで、奄美大島以南の西部太平洋に分布している。 黄色い模様が由来のクサビベラ(コモド) サンゴ礁域の内湾のガレ場に生息し、貝類や甲殻類などの底生生…

オハグロベラも喧嘩っぱやい

伊豆周辺でよく見られるオハグロベラも、よく喧嘩をする。繁殖期の初夏になるとオスが縄張りを持つため、侵入するオスと争いになるのだ。 婚姻色になり始めたオス同士の喧嘩(大瀬崎) 産卵を控えたメスを多く受け入れるためには、縄張りを維持することが重…

喧嘩っぱやいハナダイ

ハナダイ類は平和的なイメージがあるが、実はそんなことはない。かなり喧嘩っぱやい種もいる。 ケラマハナダイの喧嘩(奄美) 特にケラマハナダイは喧嘩っぱやく、小競り合いがしょっちゅうある。そのうち噛み合いになるのだ。 キンギョハナダイの喧嘩(コモ…

カマスベラ、黄化個体はなぜ?

ダイバーにあまり注目されない魚の一つがカマスベラ。理由はたぶん地味で可愛くないから。大きさも約30cmで中途半端らしい。 カマスベラ(伊江島) 多くのダイバーは、マンタやナポレオンフィッシュのような大物か、ダンゴウオみたいな極端に小さな魚が好き…

アマミホシゾラフグが掲載された書物

日本魚類学会は今年創設50周年を迎える。記念事業の一環として『魚類学の百科事典』が秋に出版されることに。数百人の著者が分担執筆するそうで、その一人松浦啓一氏からアマミホシゾラフグとミステリーサークルの写真を使いたいと連絡があった。 ミステリー…

ギンガメアジ の生態(2)

ギンガメアジがホンソメワケベラなどにクリーニングを受けている姿は見た覚えがない。だが、一度だけギンガメアジの動きがおかしいことがあった。 ハタタテダイにまとわりつく(タオ島) タイのタオ島でハタタテダイの写真を撮っているとき、数尾のギンガメ…