大方洋二の魚って不思議!

写真を通して魚類の生態や海について考える

2018-01-01から1年間の記事一覧

ギンガメアジの生態(1)

アジ科ギンガメアジは、サンゴ礁域に生息している。全長約80cmになり、大群で行動することが多いため、ダイバーに人気がある。しかし日本で成魚はあまり見られない。 ギンガメアジの成魚(ラジャアンパット) 和名の由来は「銀河のように群れるメアジ」だと…

数珠玉のようなイソギンチャク

クマノミ類が共生するイソギンチャクは約10種類。その中で触手が数珠玉のような形をしているのがジュズダマイソギンチャク。生息場所は砂地やガレ場で、大きさは約25cm。 クマノミの幼魚が住む(水納島) 共生するのはクマノミだけで、しかも幼魚のみ。なぜ…

ヤッコエイの素顔

奄美や沖縄の砂地でよく出会うのはヤッコエイ。背面に薄い水色の斑点があるのが特徴。海外に分布する「ブルースポテッドスティングレイ」と似ているが、本種は斑点の青がそれほど濃くない。 海底で休むヤッコエイ(座間味) 単独でゆっくり移動していたり、…

サンゴの産卵について

スーパーハイビジョンによる「奄美の海 奇跡のサンゴ礁(仮題)」の取材は、先日ミステリーサークルの撮影を行った。 完成したミステリーサークル 10日間でサークルをつくり始めから完成、産卵、ふ化と一連のシーンが撮影できた。 初めて撮った産卵と論文の…

奄美・ミステリーサークルの撮影

海に行っていると、時の経つのが早い。あっという間に予定の10日が過ぎた。 係留しているボートに向かう 今回のNHKのスーパーハイビジョンによる奄美ロケも、6年前の「ダーウィンが来た!」、5年前のBBC「LIFE STORY」のときと同様、大型ボートをポイントに…

スーパーハイビジョンの奄美ロケ

NHKは、12月1日から開始する超高精細の4K・8K放送について「スーパーハイビジョン」と呼んでいる。放送にあたって取材班は、すでにいろいろなところでロケを行い、番組を制作している。 NHKのHPより 「水中もの」も例外ではなく、この度奄美の海中をスーパー…

日本独特の海中景観

水中写真家デビット・デュビレの写真集『PACIFIC』(美術出版社刊)に、大瀬崎の写真も掲載されている。その中で異彩を放っているのが「ゴロタ石」と「ムチカラマツの群生」の写真で、ひと目で大瀬崎とわかる。 『PACIFIC』表紙と大瀬崎の海中 海外の写真集…

小笠原ゆかりの魚たち(2)

90年代後半に神奈川県立生命の星・地球博物館の瀬能宏氏らが小笠原諸島の魚類相調査を行った。そして日本初記録6種を『伊豆海洋公園通信』(97年2月号)で報告した。 トンプソンチョウチョウウオ(タヒチ) そのときの1種がトンプソンチョウチョウウオ。分布…

小笠原ゆかりの魚たち(1)

小笠原諸島は来月、返還50年を迎える。小笠原へは48年前(連絡船がなかったため)漁船をチャーターして行ったことがあるが、大型の台風に遭ったためにほとんど潜れなかった。したがって写真はない。 ベニオチョウチョウウオ(グアム) そこで、他の海域で撮…

キツネが付く魚

魚の名前には、動物の名を冠したものがある。ワニ、カラス、クモなどだが、一番多いのはキツネ。顔が細長いと「キツネ〇〇」と付ける傾向があるようだ。 キツネベラ(奄美) そこで、ダイビングで出会える「キツネ○○」を取り上げてみたい。 ベラ科のキツネベ…

有毒魚に擬態?コクハンアラの場合

ハタ科のコクハンアラは、幼魚~若魚の間は派手な体色・斑紋をしている。 約14cmのコクハンアラとシマキンチャクフグ その色合いがシマキンチャクフグに似ているため、擬態しているのでは、という説もあり、実際そう記されている図鑑もある。 でも本当だろう…

ホホスジタルミについて

フエダイ科のホホスジタルミは、マダラタルミとよく似ているために混同されていた。マダラタルミの新種記載は1775年で、ホホスジタルミは1931年。 ホホスジタルミとマダラタルミ(コモド) しかし日本では研究が遅れていて、80年代終りまでホホスジタルミは…

ソープフィッシュといわれる魚

「ソープフィッシュ」と呼ばれる魚がいる。ハタ科のルリハタ、ヌノサラシ、アゴハタ、キハッソクの4種。「ソープフィッシュ」といわれるワケは、刺激を受けると皮膚から粘液を分泌して泡立つからだ。 ルリハタ(式根島) 粘液は皮膚毒で、泡立った海水に他の…

あの写真が教科書に

昨日、出版社「東京書籍」から宅配便が届いた。待望の英語の教科書で「All Aboard!」。ミステリーサークルとアマミホシゾラの写真が使われたのだ。 教科書ときっかけとなった写真絵本 話があったのは一昨年の秋。東京書籍の担当者から、2018年春より使用する…

サンゴの白化について

10日ほど前、和歌山県田辺湾のサンゴが壊滅状態というニュースが流れた。付近は吉野熊野国立公園に編入された関係で、昨年12月より環境省が地元ダイバーの協力を得てモニタリング調査を行い、ほとんどのサンゴが死滅していることが判明した。 田辺湾の白化し…

ウメイロモドキの近似種

サンゴ礁の海に潜っていて、ウメイロモドキが通り過ぎるとうれしくなる。色合いがいかにも南海の魚という感じで、爽快な気分になるからだ。 ウメイロモドキ(座間味) ウメイロモドキによく似た魚にユメウメイロ、ウメイロ、イエローバックフュージラーがい…

サバ缶の怪

「サバ」といわれている魚はマサバ、ゴマサバ、タイセイヨウサバ(サバ科サバ属)の3種。マグロやカツオもサバ科だが、属が異なる。タイセイヨウサバは「ノルウェ―サバ」とも呼ばれ、背中の縞模様が太くてハッキリしているのが特徴。 ゴマサバ(伊豆大島) …

新たなプチミステリーサークル!?

いよいよアマミホシゾラフグの繁殖期だ。そう、ミステリーサークルが見られるシーズン。ミステリーサークルは産卵床で、魚類の中ではアマミホシゾラフグのものが一番きれいで形もよい。 別々のオスがつくったミステリーサークル しかも別のオスがつくっても…

MDフェア2018開催

今年もマリンダイビングフェアがサンシャインで開催された。国内や海外のダイビングサービスの方々がやって来るので、お会いできるのを楽しみにしている。 マリンダイビングフェア会場受付 今年は高知県の柏島が、島のダイビングサービス合同で出展していた…

タツノイトコとは

ヨウジウオ科はヨウジウオ亜科とタツノオトシゴ亜科に分かれている。前者は細長い体型で尾ビレがあり、浮遊するタイプと海底を這うタイプがいる。後者は尾ビレがなく、尾部でものに巻きつく習性がある。 タツノイトコ(東伊豆・富戸) ヨウジウオ類とタツノ…

春爛漫・桜が見ごろ

桜が見ごろだ。例年は満開になると雨や強風になることが多いが、今年はお花見日和が続いている。 隅田川沿いの桜並木 桜は特別なようで、満開になると大部分の人はカメラを持って出かける。ぼくも自分なりの撮影ポイントがあり、毎年撮りに行く。まぁ東京を…

新しい魚類図鑑

先日図艦が届いた。小学館の『日本魚類館』(編・監修 中坊徹次)で、ミステリーサークルの写真を貸していたので送ってきたのだ。 新刊の『日本魚類館』 図鑑の写真は大部分が標本写真で、海水魚だけでなく淡水魚も収録されているため、500ページを超える厚…

写真展「海で逢いたい」東京展開催

いよいよ写真展「海で逢いたい」東京展が23日午後1時より開催された。その前に午前10時から有志で設営を行った。 写真展「海で逢いたい」の案内状 10時に会場に行くと、すでに10数名来ていた。 手分けして作業を 手分けをしてそれぞれ作業を始める。パネルを…

変貌するイトヒキベラ

イトヒキベラはベラ科イトヒキベラ属で、全長約10cmになる。千葉県から九州の太平洋沿岸に分布する。琉球列島やフィリピンなどにも分布するが、温帯域のものとタイプが異なる。 通常色のイトヒキベラ(大瀬崎) イトヒキベラは通常それほど魅力的な魚ではな…

神戸にて

17日に神戸へ行った。写真展「海で逢いたい」神戸展が目的。会場のアートホール神戸に入ると、すでに顔見知りの人たちがたくさん来ていた。 「海で逢いたい」神戸展会場 関西方面に住んでいる知人も見に来てくれた。元座間味のダイビングサービススタッフのY…

シガテラ毒魚・アカマダラハタ

アカマダラハタという魚を知ったのは約15年前。某出版社が有害生物図鑑の作成に際し、送られてきた掲載予定の写真リストを見たときだった。 アカマダラハタ(GBR) バラフエダイやバラハタなどのシガテラ毒魚の代表的なものは知っていたが、アカマダラハタは…

アオヤガラの賢い捕食戦術

ヤガラ科のアオヤガラは肉食性で、小魚や小動物をエサにしている。獲物に近づいて水ご吸い込むという捕食方法。 ハナアイゴのそばにいるアオヤガラ 小魚の群れのそばで、じっと待っていることもあるが、そう簡単には捕食できない。そこでいろいろ考えている…

デバスズメダイモドキ(?)

スズメダイ科のアオバスズメダイは、デバスズメダイとよく似ている。そのため昔は混同されていて、'75年発刊の『魚類図鑑 南日本の沿岸魚』(東海大学出版会)には載っていなかった。 アオバスズメダイ 初めて掲載された図鑑が'84年発刊の『日本産魚類大図鑑…

ヒレグロベラとキツネベラ

同じ海域にもかかわらず、成魚は普通に見られるものの、幼魚はほとんど見られないことがある。沖縄の座間味島ではヒレグロベラの成魚はごく普通だが、幼魚は見た覚えがない。 ヒレグロベラの成魚 成魚はガレ場や転石帯をエサを探しながら行動している。 約3c…

写真展「海で逢いたい」準備中

恒例となった写真展「海で逢いたい」が、いよいよ今月15日より神戸展(於・アートホール神戸)が開催される。レセプションが17日に行われるので、出席する予定。 「海で逢いたい」案内状4 東京展の開催期間は今月23日~28日で、会場は大崎のO美術館。今回で2…